ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】9

ーラスタ・ラヴ(11/30/夜中)ー

崇「もうすぐ十二月だな」

道玄「あと二分だな。」

美喜「よろしければ何かお作りしましょうか?」

道玄「なら、崇と同じ物をもらえるか」

美喜「少々お待ちください。」

道玄「いい店だな。少し騒がしいが」

崇「ガキの店だ。騒がしいくらいがちょうどいい。」

道玄「騒がしいくらいがちょうどいいか……俺も歳というわけだな。その感性はとうに無くなった」

崇「ふっ…」

道玄「ところで、崇。うちの娘はどうだ。悠とうまくやってるか?」

崇「さぁな。他人の色恋には関わら無いようにしている」

道玄「そうか。けど、お前の事だ情報くらいは持っているんだろ。」

崇「まぁな。デートらしい事はしているみたいだ。ただ、ガキの情報だから正確じゃないぞ。ちゃんと枝(尾行)を着けた訳でもないしな」

道玄「神姫と二人きりで行動できてるならそれだけで大したもんだ。」

崇「そんなに性格が悪いのか」

道玄「家族中だと普通だがな、どうも他人との関わりには酷い」

崇「なるほど、なら面白いかもな。」

道玄「なにがだ?」

崇「悠がどこまで食らいつくかだ。アイツは他人を好きになるが、他人の好意には疎い。だから女ができない。だが、アンタの娘が好意を持たない人間なら……悠との関係は深くなるかも知れない」

道玄「よくわからんな?」

崇「くく、天の邪鬼なんだよ。自分へ好意を持つ相手には自分を見せないくせに、自分へ好意を見せない相手には自分を見せる。」

道玄「ひねくれてるな」

崇「そのひねくれが面白い、バカをやりつづけるピエロだ。」

道玄「ピエロ…か」

崇「奴の持論では「自分と似た奴とは上手くいかないが、似てないほど相性がいい」らしいぞ」

道玄「ほう、なら本当に孫の顔を見れるかも知れないな」

崇「アンタは本気なのか?」

道玄「半分はな、神姫と悠の小僧が納得してるなら俺はなにも言わん。」

崇「なら、もう半分は?」

道玄「面白いからだ」

崇「くく、アンタは十分若いよ。どうだ、うちの名誉会員にならないか?」

道玄「止めておこう。」

崇「残念だ。理由を聞いていいか?」

道玄「いざとなって、お前らの誰かと闘るときなって情がわいたら闘りにくだろ」

崇「そんな人間じゃないだろ。アンタはメリハリがつくタイプだ」

道玄「ふん、どちらにしろ俺も歳だ。お前らガキの行動にはついていけん。」

崇「残念だ。アンタとも闘る機会がくると楽しみにしていたんだが」

道玄「十年早いわ」

崇「十年、なんだ。わりとすぐじゃないか」

道玄「……口の減らん奴だ」

崇「いや、口論は俺じゃなく悠の役だ。奴は口先八寸の十枚舌だからな」

道玄「そりゃ、ただの化けもんだな」

崇「くくく。」
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