ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】8

ーラスタ・ラヴー

悠「マタニティ!」

鈴猫「っ!?」

ガンッ!

悠「あー……あれ?俺寝てた?ん?」

鈴猫「っ~~…」

悠「鈴猫、どした?」

ともき「お前のヘッドソバット食らったんだよ…」

鈴猫「っ…わ、割れてない?額われてない?」

美喜「割れてはないわね。赤く腫れてはいるけど」

悠「……なにがどうしてそうなった?」

稲葉「寝顔を覗き込んでたら、悠が突然起きてガコーン。」

悠「なんでそんな真似してた」

鈴猫「う、魘されてたから心配で……」

悠(女)「どんな夢見てた?」

悠「覚えてない。」

ともき「あんだけ魘されてて忘れたのかよ」

悠「盛大に恐ろしい夢だった気がする。きっと、脳が忘れろと機能したに違いない」

ともき「どんな夢見てたんだよ本当に…」

稲葉「だからきっと、こわーい女の人に囲まれる夢よ。」

悠「なまじ外れじゃ無さそうな所が嫌だな」

ともき「というか何処でも寝るのを止めろよ」

悠「うむ、把握」

悠(女)「zzz…」

ともき「いった側から片割れが寝てるぞ」

悠「なら、俺ももっかい寝ようかな」

ともき「なぁ、話聞いてたか?」

悠「多分」

ともき「なら、俺がなんていったかいってみろ。」

悠「えと…上郷村の民家の娘、栗を拾ひに山にはいりたるまま帰り来たらず。」

ともき「いってねぇよ!何一つ聞いてなかったろ!遠野物語だし!」

鈴猫「遠野物語?」

悠「小説だよ。小説家で民話蒐集家の佐々木吉善知らないか?遠野盆地~遠野街道に纏わる民話を語った人なんだけど」

鈴猫「知らない。どんな内容?」

悠「天狗、河童、座敷わらしなんかの妖怪系から、山人、マヨヒガ、神隠し、死者なんかに関する怪談、他にも祀られる神、それに行事なんかのだな。」

稲葉「遠野物語の本編は119話で、次に発表された遠野物語拾遺には299話収録されてるわよ。」

悠「読みたいならうちにあるぞ。貸してやろうか?」

鈴猫「ど、どうしようかな」

ともき「俺はオススメしないな」

悠「なんでだよ」

ともき「お前さ、その手の話になったら本気になるだろ。」

悠「?」

ともき「自覚なしか……あのな俺がたまたま遠野物語読んでたら、お前の語り+読み終わるまで帰さなかったの覚えてないのかよ」

悠「はてはて、そんなことしましたか?」

ともき「したよ!してなかったらこんな詳しくなるわけ無いだろ」

稲葉「博学って素敵よ?」

ともき「博学とは絶対違うだろ。」

稲葉「そうかしら?」

悠「ともきもこうしてオタクになっていくんだな」

ともき「ならねぇよ。っか、その場合はお前が感染源だな。」

悠「いっひっひ。仲間が増えるぞ」

悠(女)「にっひっひ。仲間がフェルナンデス」

ともき「しょうもないこと言うな。」
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