ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】8

ー宗方フルーツー

梓「カキに梨に栗…すっかり秋一色だな。」

六花「んー」

梓「鈴猫さんとこの花屋もそうだけど、こういうとこで仕事してると四季の移ろいが一層分かるな」

六花「んー」

梓「今年は九月のぎりまでスイカが売れたな」

六花「んー」

梓「……リッカ、このスベスベマンジュウガニ何処に並べたらいい?」

六花「んー」

梓「話聞いてないだろ!」

六花「うわ…ビックリしたー。……なに?」

梓「俺の話聞いてなかったよな?」

六花「うん。」

梓「正直だな…」

六花「いやー、ごめんごめん。ヘッドフォンしてたしー」

梓「あのさ…俺がいうのもアレだけど仕事中だろ」

六花「どうせ平日の日中なんておばさんくらいしか買いに来ないってー」

梓「そうだろうけど……。なに聞いてたんだ?」

六花「ドン・ジョヴァンニ」

梓「オペラだったけ?」

六花「そそ、石像の騎士に連れられて地獄に落ちるまでを描いた傑作。モーツァルトにしてはめずらしく悲壮感いっぱいのやつー。」

梓「どうでもいいけど、ラジカセを占領するなよ」

六花「それは反省する。BGMはいるよねー。よっと…」

プッ…♪~♪

梓「二枚目か」

六花「序曲はあたしの部屋にあるよー。っか、あずにゃん詳しくなってきたねー。」

梓「あずにゃんいうな。そりゃ朝から晩までクラシックのCD流れぱなしだからな」

六花「いい音楽は胎教にいいのだよー」

梓「妊婦いないけど?」

六花「はー…」

梓「投げっぱなしかい」

六花「そんなことより…カラオケいかない?」

梓「藪から棒だな」

六花「いやー、最近歌ってないしさー。」

梓「(壁から~の件がない…。)昨日、西口公園で路上ライヴやってたよな?」

六花「アレはSウルフの音楽系チームに頼まれて参加したの」

梓「一昨日は本郷さんと出掛けてたよな」

六花「アレはレコーディング。」

梓「どちらにしても歌ってるよな?」

六花「まぁねー」

梓「どれだけ歌えば気が済むんだよ…」

六花「別に数はこなさなくてもいいんだけどさー。こう……あ、完璧にハマった?的に歌えたら一曲で済んでも全然おっけーねなんだよねー。」

梓「けど、歌うだろ?」

六花「歌うね。マイクと愛機(ギター)は離さないよ。」

梓「……じゃあ、一人カラオケ行ってきたらどうだ?」

六花「いいの!」

梓「別にいけなくは無いだろ」

六花「やったー。梓くん、ありがとー!行ってくるね、ついでに半日くらい散歩してくるからー。」

梓「はいはい、パトロールご苦ろ……って、今行くな!おいっ……もう居ないし…」

悠「体よく逃げられたな」

梓「ったく……」

悠「……」

梓「いつからいた!?」

悠「いっひっひ。俺は何処にでもいるし、何処にも居ない。声はすれども姿は見えぬ、そんなあなたは屁のような…」

梓「そんなネタ、若いやつには絶対に解らないから…」
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