ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】8

ー男爵ー

月美「練る、練る…」

小雪「うん、うん、月美ちゃん上手かな♪」

月美「えへへ」

千草「ヘラから落ちるのに少し時間がかかるくらいになったら、予熱であらかじめ200℃に熱せられたオーブンにいれて…」

小雪「あとは待つだけかな」

千草「しばらく時間があるし休憩しましょうか。なにか淹れるわ何がいい?」

月美「ココア!」

小雪「私もココアでいいかな」

亮「バラバラになると面倒だろ俺もココアでいいよ」

千草「わかったわ。」

亮「それにしても…菓子作りって面倒だな……」

小雪「そうかもしれないかな。けど、簡単なお菓子も色々あるかな」

千草「よいしょ、はい、ココアお待たせ。その中でシュークリームは本当に難易度が高いのよ。」

悠(女)「まぁな。あーしも何回か作ったことあるけど膨らますのがうまくいかないんだよな。だから、結論は「作るより買え」になるんだよ」


月美「悠ねぃでも失敗するんだ」

「そりゃするよ。けど、難易度が高いからこそ上手に出来上がったときの達成感はハンパないんだけどな」

亮「もしかして、それでシュークリームが好きなのか?」

悠(女)「いや、そんな面倒ごとが好きなわけないだろ。けど、あえてその難題に挑みたいってことも少しはある。」

小雪「小鳥ちゃんは変わってるかな」

悠(女)「ほっとけ、ホルスタイン」

小雪「セクハラかな!」

亮「あはは……って…」

「「「悠(女)!?」」」

悠(女)「ん?」

千草「あんた、なんで…」

悠(女)「いや、店の前通りかかったら休業の看板出てるのに話し声が聞こえるから」

亮「いやいや…」

チチチチッ!

悠(女)「キッチンタイマーが鳴ってるぞ」

月美「焼けた!大成功!膨らんでるよ」

小雪「え、あ!ちょっと待っ…」

月美「へ?」

ぷしゅうぅ~……

亮「あ、萎んだ」

月美「ど、どうして!?」

悠(女)「あちゃ…一度膨らんでも急激に温度が下がったらしぼんじゃうから、オーブンの扉は熱が冷めるまで開けちゃダメなんだよ」

月美「ご、ごめんなさぃ……」

亮「お前は何やってんだよ…」

悠(女)「おいおい、知らなかったんだから仕方ないだろ。お前の面を凹ましてやろうか」


亮「こえぇよ!」

月美「……せっかくみんなが手伝ってくれたのに…」

千草「月美ちゃん…」

悠(女)「じゃ、もっかい作ればいんじゃね?」

亮「いや、もうできないだろ」

悠(女)「アホ…その「できない」って、エネルギーがそんなに有り余ってんなら、ちょっとでいいから「できる」って方向に使ってみたらいいだろ。離れていく一方だったモンがたったそれだけで近づき始めると思うぜ。」

月美「悠ねぇ…」

悠(女)「あーしも手伝うからさ。亮は今から走り込みな」

亮「えぇ…」
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