ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】7

ーラスタ・ラヴー

澪「ともきは、あのワインは誰が開けたかを聞いてきたぞ。俺は悠が開けたって答えた。」

ともき「これでほぼ確定だった。」

将也「なんで、どうしてそんなものが気になったんです?」

ともき「悠が、これは観察力か洞察力か推理力のゲームっていっただろ?それを聞いて俺はまず悠じゃなくテーブルを見たんだ。」

優希「テーブルですか?なにも不自然な所はないと思うけど。」

ワインのボトル
グラス
悠の財布
散らばった小銭
悠の拳

ともき「一見したらそうだけど、明らかに開けたばかりのワインがあるのにコルク抜きも、コルクも無いだろ?もし、これが開けてから持ってきたものだとしたらコインだったかもしれないけど悠が開けたのならコルクがあるはずだ。そこが引っ掛かった。床にも落ちてなかったし。」

紅菜「それでもコルクなんて判断できないような気がしますけど」

ともき「そこは、二つだな。一つは手に握れる物。もう一つは最初からあって、けど、無くなっても存在を気にしないものってこと。というか、このゲームは頭から悠のミスデレクションが始まってるから途中参加の俺は割りと有利だったんだ」

梓「すまん、どういう意味だ?」

ともき「ゲームスタート前にコイントスしたんだよな?それから皆はずっと悠を見てたんじゃないか?」

梓「もちろんだ。イカサマしないようにな。」

ともき「それが既に悠の術中だ。自分には触れたらダメ、悠は動かないってルールも視線や注意を悠と悠の手にだけ集中するように仕向けられてる。」

将也「ちょっと待ってくれ。じゃあ…あれか?悠はコイントスでまず『コルク』から『コイン』にミスデレクションして、次に『ルール』で『俺たちの考え』をミスデレクションして、最後に『自分自身が動かない事』って宣言をミスデレクションに使って『俺たちの認識と視角』も封じたっていうのか?」

悠「いっひっひ。封じたんじゃない。『コルク』という解答から意識を遠ざけて、その状況の中から俺はもうひとつの解答に導けるようにルールで誘導した。いっとくけど馬鹿にしてる訳じゃないんだぞ。相談の仕方やルールを把握して情報を集めて、偽りながらも『ラッキーコイン』の解答までたどり着いたんだからな。それは紛れもなくお前らの団結力がなせた行為だ。」

優希「うーん……けど、くやしいな」

紅菜「悠さんの手の中で踊らされてた感じだもんね」
悠「いっひっひ。そう、むくれるな。俺は本当に感心したんだぞ。」

卯天「あの……けど、断片的とはいえ『コイン』の情報の方が大きかったはずなのに、ともきさんはどうして…?」

ともき「こいつは天の邪鬼だからな。可逆不可逆。俺は可能の方法を考えただけだ。天の邪鬼が出題者(ゲームマスター)なら必ず曲問する。つまり、重要なのは天の邪鬼(悠)に注意するんじゃなく、そいつが行動を起こす前の状況に注意を配るんだ。みんなは鬼に視点をあわせすぎた。もっとマクロ視点(状況全体)で見ればきっとわかったはずだ。」

悠「いっひっひ。鬼とは酷いな~。まぁ、ともきの勝因は勘の良さと俺との付き合いの長さもある。さぁて、頑張ったご褒美あげないとな。優希ちゃん、紅菜ちゃん、将也、卯天。今日は俺と梓先輩とともき先輩とが割り勘で焼き肉をご馳走してあげよう」

「「「……や、やった!皆さん!ごちになります!」」」

ともき・梓「「ええぇ!?」」

悠「いっひっひ。」
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