ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】7

ーラスタ・ラヴー

澪「結局、そのおいてけ堀の正体はなんなんだ?妖怪か?幽霊か?」

悠「俺の推理と推測の答えでいいなら語るけど……聞きたい?」

美喜「まぁ、話の種だし」

梓「妖怪の悠の見解なら、あながち間違いじゃないかもしれないしな。」

ともき「妖怪って……妖怪か」

悠「はい、そこツッコミを放棄しないように
!!」

ともき「悪い悪い。」

悠「ったく、「通い妻」の称号がなくなるぞ」

ともき「そんな称号もっとらん!!」

悠「どうかな…さて、エクソシスト小鳥遊と謳われた俺の考えだと、おいてけ掘の怪の正体はムジナだ」

澪「ムジナって狸だっけ?」

悠「いや、狸とは似てるけど違う。まぁ、それで「同じ穴のムジナ」ってことわざがあるんだけど……それは今はとりあえず置いておこう。置いてけ堀だけに」

美喜「あいま、あいまで微妙にイラってする小ネタ挟まないでくれない?」

悠「俺は十秒に一回ギャグをやらないとダメな病気なの」

美喜「本当に病気ね」

悠「ともきー。あのコスプレ娘が冷たいの」

ともき「わかったから抱きつかないでくれ…暑苦しい」

梓「気が済んだなら、話を進めてくれないか。エクスタシー小鳥遊」

悠「エクソシストだ!」

梓「似たようなもんだろ。どっちも好きそうだし」

悠「否定はしないが…」

澪「をいをぃ…」

悠「ワールドライズなトークは置いといて…」

澪「ワールドライズなトークだったのか?」

ともき「俺に聞かないでくれ」

悠「日本の民話では、ムジナはキツネやタヌキと並んで、人を化かす妖怪として描かれることが多いんだ。文献上では『日本書紀』の推古天皇35年(627年)の条に「春2月、陸奥国に狢有り。人となりて歌う」とあるのが初見とされてて、この時代にすでにムジナが人を化かすという観念があったんだ。」

梓「へぇ」

悠「下総地方…今でいう千葉県、茨城県だな。そこだと「かぶきり小僧」といって、ムジナが妙に短い着物を着たおかっぱ頭の小僧に化け、人気のない夜道や山道に出没し「水飲め、茶を飲め」と声をかけるといわれた。小泉八雲の『怪談』に書かれてる、のっぺらぼうの目撃譚「むじな」も、よく知られている。」

ともき「ああ、だから、おいてけ堀の正体はムジナっていったのか。」

悠「あぁ、さらにここからは完全に俺の推測なんだど、ムジナは人を化かすんじゃなく幻覚を見せる能力をもった妖怪だったんじゃないかと思ってる。もっと言えば催眠妖術。釣り終わって、さぁ帰ろうとしたときに聞こえる「おいてけ」が合図だ。その言葉で催眠状態なになって悪夢を見せられるって寸法だ」

梓「のっぺらぼうとかか」

悠「うむ、力が無くてもそういった妖術が使えたら、寝てる間に堀に引きづり込むのも不可能じゃないだろ」

ともき「なるほど…理にかなった回答だな。けど、それじゃあ魚を置いていくか喰われる落ちか」

悠「もし、俺の予測どおりなら対処方としては自己催眠が一番の手だろうな。「おいてけ」と聞こえて催眠状態にかかるとき「悪夢」じゃなく「反撃」を考える。夢の中ならなんにでもなれるからな」

梓「目が覚めて物理的にやられないか?」

悠「多分その可能性は低い。さっきも言ったけど力がないから催眠妖術を使う。だから、催眠さえ解ければあるいわ…って感じだな」

ともき「…本当に妖怪とかと張りあえそうだな」

悠「俺は弱いからねん。必死に対抗策を考えるんですよ。けど…いっつも思うんだ」

梓「なにを?」

悠「結局、妖怪、幽霊、悪魔、龍、鬼、精霊、神……どんなバケモンも最後は人に殺されるんじゃないかってな」

澪「…悠は殺す側か?」

悠「やだな。バカを言わんでくださいよ。俺は人間でしかも下卑た人間だぞ?余計なことして内臓を撒き散らして死ぬタイプだよ。いっひっひ」
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