ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】7
ーラスタ・ラヴー
梓「ある日、ある時、ある所…」
二人の男がありにけり。
訪ねたるはお堀に生えたる垂れ柳、何故かと問われりゃ片割れが、昼間にドジョウを捕まえた、柳の下で捕まえた。話を聞いて、もう1人、俺もドジョウを捕まえよう。
そんなこんなで来たという。
ドジョウはどこじゃと探しても、昔の人の言うように柳の下のドジョウに終わり、見つかる話はありゃしない。
これでは帰れぬ、なんのためにここに来た、したらば釣りだと糸を垂らしてみたところ、なんとまさかの大当たり、どんどん釣れるわ、入れ食いだ。
ふと気が付くと日暮れだ、さあ帰ろう。
耳にふと入(い)る人の声、水辺の方から声がする。おいてけ、おいてけ、声がする。びっくりぎょうてん、さあたいへん、何も持たずに走るが1人、魚の篭を担ぐが1人。篭を担いだ片割れが、突然、ギャッと声を出す。
振り返って見た光景。
倒れたあいつと、その足を掴み堀へと引き込む無数の白い手。見たもの思わず気絶した。
気付いたときは明くる朝、片割れの姿形は何処にもいない、ただ引きずられた跡が残るのみ。
梓「残された者はその身に付いた生臭い匂いが生涯とれることは無かったという。……どうかな」
悠「上手だったよ。おいてけ堀だな」
美喜「夏の納涼って意味では怪談もありだけど……暑いわ。」
ともき「あれ…記憶違いだったか。子供のとき日本昔話でみたのと少し違うような…」
悠「おいてけ堀にもいくつか話があってな……コホン。昔ある所に一人の魚屋がいたが、その男は博打を覚えてしまいまったく働こうとしなかった。」
見兼ねた幼馴染みの金さんが何度も働くよう説得したが男は聞き入れない。そこで金さんは男と賭けをすることにした。
この街には夜釣りをすると「おいてけ~…」という声がして、化け物が現れるという噂のある「おいてけ堀」という堀があった。
金さんはそこで夜釣りをして、魚を持って帰って来れたらもう何も言わないと約束した。
そしてその夜、男はおいてけ堀で釣りをしていた。面白いように魚が釣れるので男はいい気分だった。
すると堀の方から「おいてけ~…」という声が聞こえてきた。
男はびっくりして逃げ出そうとすると、そこに一人の美しい若い女が現れた。
女は男を見ると「今ここで釣った魚を置いて行ってください」と言う。
男が脅かしかってダメだと言うと、女は自分の顔をはずした。
そしてそこには何も無いのっぺらほうの顔があった。
肝をつぶした男がいつもよっているソバ屋へ行き今のことをおやじに話すと「それはこんな顔ではなかったか?」とおやじは振り返った。
その顔は女と同じのっぺらぼうだった。男はまた肝をつぶして、釣った魚も何も放り出して家へ逃げ帰った。
女房がお帰りと言って振り返ると、女房の顔はのっぺらぼうだった。
そうして男は気絶してしまった。その頃金さんはソバ屋で一杯やっていた。
あの「おいてけ~…」という声は金さんで、ソバ屋のおやじはおしろいと塗ってのっぺらぼうに化けていたのだ。
男の女房も同じだった。金さんは男を立ち直らせるため、ソバ屋のおやじと男の女房と共に一芝居打ったのだ。
ソバ屋のおやじは「金さんは友達思いだねえ」と感心し、「それにしてあんな綺麗な女の人にまで頼むなんて手が込んでるねえ」と言った。
すると金さんは「綺麗な女人って誰だい?」おやじに聞き返した。
するとおやじはほら、あの若くて綺麗な人がのっぺらぼうに化けてただろう、と言う。
金さんはおやじと男の女房以外には頼んでいないと言った。ふたりは青ざめた。
悠「やっぱりおいてけ堀には化け物がいたのだと震えた…。って、バージョンがある。」
ともき「悠は怪談とか詳しいよな」
悠「落語でよくつかわれるからな。ちなみに、おいてけ掘の落ちはこんな感じだ。」
・現場に魚籠を捨てて逃げ帰り、暫くして仲間と一緒に現場に戻ったら魚籠の中は空だった
・自分はすぐに魚籠を堀に投げて逃げたが、友人は魚籠を持ったまま逃げようとしたところ、水の中から手が伸びてきて友人を堀に引きずり込んで殺してしまった
・釣り人以外にも、魚を持って堀を通りかかった人が魚を奪われた
・声を無視していると金縛りに遭った。
梓「ある日、ある時、ある所…」
二人の男がありにけり。
訪ねたるはお堀に生えたる垂れ柳、何故かと問われりゃ片割れが、昼間にドジョウを捕まえた、柳の下で捕まえた。話を聞いて、もう1人、俺もドジョウを捕まえよう。
そんなこんなで来たという。
ドジョウはどこじゃと探しても、昔の人の言うように柳の下のドジョウに終わり、見つかる話はありゃしない。
これでは帰れぬ、なんのためにここに来た、したらば釣りだと糸を垂らしてみたところ、なんとまさかの大当たり、どんどん釣れるわ、入れ食いだ。
ふと気が付くと日暮れだ、さあ帰ろう。
耳にふと入(い)る人の声、水辺の方から声がする。おいてけ、おいてけ、声がする。びっくりぎょうてん、さあたいへん、何も持たずに走るが1人、魚の篭を担ぐが1人。篭を担いだ片割れが、突然、ギャッと声を出す。
振り返って見た光景。
倒れたあいつと、その足を掴み堀へと引き込む無数の白い手。見たもの思わず気絶した。
気付いたときは明くる朝、片割れの姿形は何処にもいない、ただ引きずられた跡が残るのみ。
梓「残された者はその身に付いた生臭い匂いが生涯とれることは無かったという。……どうかな」
悠「上手だったよ。おいてけ堀だな」
美喜「夏の納涼って意味では怪談もありだけど……暑いわ。」
ともき「あれ…記憶違いだったか。子供のとき日本昔話でみたのと少し違うような…」
悠「おいてけ堀にもいくつか話があってな……コホン。昔ある所に一人の魚屋がいたが、その男は博打を覚えてしまいまったく働こうとしなかった。」
見兼ねた幼馴染みの金さんが何度も働くよう説得したが男は聞き入れない。そこで金さんは男と賭けをすることにした。
この街には夜釣りをすると「おいてけ~…」という声がして、化け物が現れるという噂のある「おいてけ堀」という堀があった。
金さんはそこで夜釣りをして、魚を持って帰って来れたらもう何も言わないと約束した。
そしてその夜、男はおいてけ堀で釣りをしていた。面白いように魚が釣れるので男はいい気分だった。
すると堀の方から「おいてけ~…」という声が聞こえてきた。
男はびっくりして逃げ出そうとすると、そこに一人の美しい若い女が現れた。
女は男を見ると「今ここで釣った魚を置いて行ってください」と言う。
男が脅かしかってダメだと言うと、女は自分の顔をはずした。
そしてそこには何も無いのっぺらほうの顔があった。
肝をつぶした男がいつもよっているソバ屋へ行き今のことをおやじに話すと「それはこんな顔ではなかったか?」とおやじは振り返った。
その顔は女と同じのっぺらぼうだった。男はまた肝をつぶして、釣った魚も何も放り出して家へ逃げ帰った。
女房がお帰りと言って振り返ると、女房の顔はのっぺらぼうだった。
そうして男は気絶してしまった。その頃金さんはソバ屋で一杯やっていた。
あの「おいてけ~…」という声は金さんで、ソバ屋のおやじはおしろいと塗ってのっぺらぼうに化けていたのだ。
男の女房も同じだった。金さんは男を立ち直らせるため、ソバ屋のおやじと男の女房と共に一芝居打ったのだ。
ソバ屋のおやじは「金さんは友達思いだねえ」と感心し、「それにしてあんな綺麗な女の人にまで頼むなんて手が込んでるねえ」と言った。
すると金さんは「綺麗な女人って誰だい?」おやじに聞き返した。
するとおやじはほら、あの若くて綺麗な人がのっぺらぼうに化けてただろう、と言う。
金さんはおやじと男の女房以外には頼んでいないと言った。ふたりは青ざめた。
悠「やっぱりおいてけ堀には化け物がいたのだと震えた…。って、バージョンがある。」
ともき「悠は怪談とか詳しいよな」
悠「落語でよくつかわれるからな。ちなみに、おいてけ掘の落ちはこんな感じだ。」
・現場に魚籠を捨てて逃げ帰り、暫くして仲間と一緒に現場に戻ったら魚籠の中は空だった
・自分はすぐに魚籠を堀に投げて逃げたが、友人は魚籠を持ったまま逃げようとしたところ、水の中から手が伸びてきて友人を堀に引きずり込んで殺してしまった
・釣り人以外にも、魚を持って堀を通りかかった人が魚を奪われた
・声を無視していると金縛りに遭った。