ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】7

ーラスタ・ラヴー

悠「ムスッ」

崇「どうした?機嫌が悪いな」

悠「誰でも悪くならぁ」

氷室「あはは。ちょっとしたオチャメじゃないですか」

悠「そのオチャメで痛く傷ついたんですけど?」

崇「お前がその程度で傷つくわけないだろ。」

悠「どういう意味じゃ!」

氷室「傷つくといえば私は悠さんによく傷つけられてますよ?」

崇「ほぅ…」

悠「えぇ!氷室さんになんかしましたか?!」

氷室「悠さん…」

悠「……」

氷室「メールにお返事してくれないじゃないですか」

悠「なっ…」

氷室「酷いですよね。毎日、毎日、送っていますのに」

悠「いやいやいや、俺がメール嫌いなの知ってるでしょ。なにより、氷室さんのメールは読みにくいんだよ。ギャル文字とか…暗号だし、むちゃくちゃ文が長いし。」

崇「そんなメール送ってるのか、お前。」

氷室「はい。悠さんにだけですけど」

悠「なんですと!?」

氷室「悠さんの反応を見るのが楽しくて。千夜君だと困ってしまうでしょ?」

悠「俺も大困りなんすけど…」

氷室「あはは。」

悠「笑うところじゃないし…」

崇「楽しそうだな」

氷室「えぇ、またしばらく出番がありませんからね。ここで喋っておきませんと」

悠「はぁ…」

崇「くくっ、お前ら案外いいコンビだな。」

氷室「いやぁ、悠さんとコンビを組むのは私には無理ですよ。」

悠「あら、まっこう否定?」

氷室「そうではありません。タイプの違いですよ。」

悠「あぁ…それなら解る。」

崇「確かにな。お前(悠)はうだうだしながら一人でほっつき歩く。お前(薫)は周りを固めてから動く。相性は悪そうだ。」

悠「相性もなにも氷室さんには千夜がいるだろ。」

氷室「崇には本郷さんがいらっしゃいますね。」

悠「誰にしろパートナーは居るもんさ……俺以外な」

美喜「私にはパートナーなんて居ないわよ?」

悠「花描くんが居るだろ。」

美喜「別にパートナーって訳じゃ…」

悠「照れるなよ。パートナーってのは色んなタイプがあるだろ。澪とリィズちゃんみたいなパートナー関係もあるしな。」

澪「悠には、ともきが居るだろ。」

悠「ともきは確かに相棒だ。けど、真の意味でのパートナーならつかさだ。」

崇「どうかな」

悠「あん?」

崇「お前は道化だからな。パートナーが居ないんじゃなく、誰とでも併せられるから居なく思うだけじゃないのか?」

氷室「なるほど。動物みたいですね。」

悠「はん…俺は人間だっての!」

崇「……『人間的な、余りに人間的な物は大抵は確かに動物的である。』」

悠「……」

氷室「芥川竜之介ですね。」

崇「お前は人間的過ぎるんだ。だから、動物的になる。」

悠「ふん。ほっとけ。」

崇「くくっ、お前は本当に面白いな」

悠「『意味がある世界とは他者がいる世界である』って言葉を知らないのか?」

氷室「レヴィナスの言葉ですね」

崇「知らん。」

悠「えぇ…そこで知らんって。」
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