ｰ小鳥遊邸(庭)ｰ

悠「うわ…マジかよ」

梓「むぐぐぐ？」

悠「喋るなら口の中の団子を片付けてからにしろ」

梓「ｺﾞｸｯ…どうかしたか？」

悠「アサガオがもう咲いてる。」

梓「夏はアサガオ普通に咲かないか？」

悠「まだ、早いんだよ。けど暑さで咲いたんだろうな。まったく、せっかちなアサガオだな。」

梓「楽しそうだな…。」

悠「そうかぁ？」

真桜「楽しくなかったら、日がな一日、土いじりしてるやつはいないなの。」

梓「一日？」

真桜「一日なの」

梓「土いじりを？」

真桜「土いじりをなの」

梓「……」

真桜「……」

悠「あんだよ。」

梓「……悠、老け込むのは早すぎるだろ。」

悠「老け込んどらんわい。ただの趣味だよ。」

梓「ただの趣味で学生が一日、土いじりって…。」

悠「そういう学生だっているっての、鈴猫なんか毎日だろ。」

梓「いや、桜華さんは仕事だろ。まぁ、趣味も入ってる部分も無くはないだろうけど」

悠「まぁ、鈴猫はフラワーアレンジメントで俺は育成、収穫、捕食だしな」

梓「捕らえて食ってはないだろ」

悠「いま、梓が食ってるずんだ餅は裏の畑から収穫した枝豆を使っていますが？」

梓「素晴らしいな。これからも頑張って育てて、収穫、捕食させてくれ」

悠「よろしい。」

ともき「よーす。」

悠「おぅ。らっしゃい。」
梓「うーす」

ともき「梓も居た……、悠はなんでメイド服着てる…」

悠「ちょっと、零夜と色々あってな…一日この格好でおらなあかんのだ。っか、うちにうちに帰ったらばらされるまもなく、まおと顔会わせるんだよな…はは、まさに道化か？あはははは！」

ともき「落ち着けって……」

梓「しかし、ズボンスタイルのメイド服ってあるんだな」

悠「あー？俺のスカート姿が見たかったか？野郎の脛は醜いぞ？」

ともき「変な絡み方するなよ…それより、ビワが出ててたから買ってきたんだけど」

悠「お、さんきゅ。ずんだ餅あるけど食うか？」

ともき「いいな。」

悠「だろ。泡の出る麦茶とでない麦茶どっちがいい？」

ともき「でないほうかな。」

悠「まお～、麦茶ひとつと泡麦茶ひとつ」

真桜「あぁんなの？」

悠「にゃう…麦茶だけでいいです」

ともき「飲みながら土いじりなんかしたらぶっ倒れないか？」

梓「この炎天下だしな。」

悠「泡麦茶はカンフル剤だ。まぁ、飲みすぎたらやる気が激減して動きたくなるけどな」

ともき「悪循環じゃないか。」

悠「だから、チビりチビり飲みながらじわじわと土いじりするんだよ。」

梓「中山さん、若者としてどうだと思います？」


ともき「桐山さん、アレは若者のカテゴリーに含めなくていいと思いますよ。」

悠「お前らなぁ…人のことバカにして楽しいか？ちなみに俺は人をバカにするよりからかう方が楽しいぞ。」

ともき「知らんわ。っか、バカにはしてないぞ。」

悠「どうかねぇ…」

梓「こうやって美味いの食わせてくれる悠をバカにするわけないだろ。そんなやつが居たら俺のダチをバカにすんな！って、心の中で思っとくよ。」

ともき「思うだけかよ」

悠「そいつは心強いな、心の中だけに…にぱっ」

ともき「ドヤ顔やめれ。」