ー談話ーラスタ・ラヴへようこそ【Ⅴ】6

ーラスタ・ラヴ(4/6/夜)-

悠「今日も寒いじゃないか、どうしてくれるんだよ」

マリア「誰にいってるんですかね。」

悠「誰かにだ」

ともき「だから誰にだよ…」

マリア「見えない誰かと話しだす……あっ(察し)」

悠「薬はやってねぇぞ」

マリア「なら宗教の方ですか?」

悠「狂信者はお前じゃろがい!!」

マリア「私は宗教なんてハマってないですよ。鈴猫さんを信仰してるだけです。」

福太郎「これは信者やね。」

悠「さて、寒いといえば昨日地獄の門の話をしたがその続きを話していこう」

真樹「確か、油田を掘ろうとしたけど、ガバガバ工事で大陥落が起こったんだよね。」

京「けど、怪我人は一人も出なかった。」

ともき「奇蹟的だな」

悠「ただし、本当の大問題はここからだった。このクレーターの内部には大量の天然ガスが充満してることが分かった。」

京「天然ガス?」

悠「ああ、この天然ガスがクレーターから漏れ出てしまうと周辺の住民や野生動物の命に危険が及ぶ可能性があった。」

福太郎「なるほど、その有毒なガスをどうにかせんとアカンわけやな。」

悠「そうだ。そこで科学者たちはこの有毒ガスを周りに流出させないために……ガスに火をつけて燃やし尽くしてしまおうと考えたんだ。」

マリア「全部燃やしてしまえばガスもなくなるってことですね。良い考えじゃないですか。」

悠「だが、これも間違いだった。」

ともき「まちがい?」

悠「ああ、つけた炎はまったく弱まること無く、何年もなん十年も燃え続けた。その結果、現在まで半世紀以上の間燃え続けることになってしまった。この先どのくらい燃え続けるのかも分からず、すぐ消えるつもりでつけた炎は今でもずっと燃え続けてるんだ。」

京「そんなにずっと燃え続けることあるの?」

悠「まあ人間が想定していたよりも莫大な量のガスが眠っていたんだろう。つまりこのクレーターは人間が掘って、人間が火をつけてずっと燃え続けている人間の自業自得によって生まれてしまった産物なわけだ。」

ともき「失敗が重なることで取り返しのつかない事態が生まれたわけだな。」

京「砂漠にこんな危険なクレーターができるなんて、トルクメニスタンも大変だ。」

悠「いや、意外とそうでもない。」

真樹「なんで?」

マリア「はっ!お金の匂いがしてきましたよ」

悠「さすが金の匂いを嗅ぎつけるのは一流だな。この燃え続ける巨大クレーターはもちろん珍しく、世界的にも有名になっていった。そして、地獄の門という名前で広く知られるようにもなった。そしてこの地獄の門、夜見るととても目立って綺麗に見えるんだ。その結果、この巨大クレーターを一目見ようとここを訪れる観光客も後を絶たずトルクメニスタン政府もここを有力な観光地にする方針に変更している。」

ともき「失敗に次ぐ失敗からの逆転か」
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