ー談話ーラスタ・ラヴへようこそ【Ⅴ】6

ーラスタ・ラヴ(3/28/夜)-

悠「お目目スッキリー!」

ともき「寝たのか…」

悠「いや、めぐすりパワーだ。」

ともき「寝ろよ!」

悠「寝てるよ。ちゃんと2.3時間ほど仮眠とったから」

マリア「ちゃんと寝てる仮眠とってるという矛盾」

優日「寝ない実験されたらいいのに」

悠「最終的に化け物フレンズになっちゃうからそれは無しだ。」

京「どういうこと?」

悠「掻い摘んで話すよりは、頭から終わりまで聞いた方が理解するから……プロメ」

プロメ(仮)【人をゾンビのような怪物に変えてしまう残酷なソビエトの実験の噂が、ここ10年間人々を怯えさせている。その勢いはまるで止む気配がない。噂では、事件は1940年代後半に起きた。第二次世界大戦が終わり、スターリンがまだまだ絶大な権力をふるっていた時代だ。厳重に警備された秘密基地で、研究グループがグラーグ(強制収容所)の囚人5人に残酷な実験を行ったのだ。眠気を奪う向精神性のガスで満たされた実験室で30日間過ごせば、彼らは解放を約束されていた。】

真樹「30日も眠らないでいられるの?」

福太郎「普通は無理やな」

悠「無理やなことをやらせるのが実験だ」

優日「死に直結する人体実験の時点でアウトだよね」

京「それでどうなったんだ?」

プロメ(仮)【実験開始5日目で状況は制御不能に陥った。被験者は観察を妨害し、発狂し、叫び、唸った。その後は不気味な静寂が続いた。数日後にとうとう研究者らが実験室に踏み込んだが、彼らはそこでおぞましい光景を目にした。被験者らは自分たちの身体から皮膚の大半を剥いでおり、床は血の海と化していた。】

悠「剥ぎ取り素材」

ともき「素材いうんじゃない」

優日「ひとの皮膚から作られたブックカバーみたいなのあったよね」

福太郎「人皮装丁本(にんぴそうていほん)やね。文字通り人間の皮膚を材料にして装幀(装丁)が施された本。現代ではほとんど行われないけど、この製本技術は少なくとも17世紀頃には確立しとったぽいで。 」

プロメ(仮)【障害を負った囚人らはどうにか生きていたが、彼らは「起きていなければならない」と叫び、刺激性のガスを再び吸わせるよう要求した。研究グループに拘束されそうになると、彼らは驚くような怪力を出し、研究者らを助けていた兵士ら数人を殺してしまった。結局被験者らは制圧された。一人は眠るよう指導を受けて目を閉じた直後に死亡した。他の2人は脱走を試みて射殺された。最後の一人が射殺される前、ある研究者が「お前らは何なんだ!」と叫んだ。傷付いた血まみれの体は恐ろしい笑みを浮かべて答えた。「俺たちはあんたたちだ。俺たちはあんたたち全員の中に潜んでいる狂気だ。あんたらの野生の心の奥深くからいつ何時でも解き放たれるのを待っているその狂気だ。俺たちはあんたらが毎晩ベッドに隠れて逃げているそれだ。俺たちはあんたらが決して踏み入れることのできない夜の天国に行こうと鎮静剤を打って黙らせ、麻酔をかけるそれだ。」 こう言ったところで、囚人は研究者に頭を撃ち抜かれた。】

京「すごい怖い話だな。」

悠「でもアメリカの都市伝説だから」

優日「でも、実は本当のことだったりして」

ともき「もしかしたら感を出すな」

プロメ(仮)【よろしいでしょう。】

悠「どうした?」

プロメ(仮)【都市伝説に指摘するのもアレですがいくつか明らかにおかしい点があります】

京「おかしい?」

プロメ(仮)【まず、 研究者らが被験者らを観察できないまま何日間も実験室に放置する意味がありません。次に人を眠らせないガスは現代の科学には知られていません。そして、もし身体からほとんどの皮を剥げば、間違いなく失血死します。】

福太郎「実に論理的かつ科学的やな」

優日「ツッコむのは野暮って前置きをしてるのも好感持てるね。」

プロメ(仮)【おほめに預かり光栄です。】

悠「おれも褒めてくれていいぞ」

ともき「何もしてないだろ」
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