ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】6

ーラスタ・ラヴー

悠「……」

トントン…

悠「?」

紅「よっ。」

悠「あー紅か…なんだ?」

紅「いや、なんか瞑想状態だったから。」

悠「いやいや、音楽聴いてボーッとしてただけだから。」

紅「なに聴いてんだ?」

悠「スティーヴ・ライヒの「十八人の音楽家のための音楽」」

紅「現代音楽ってやつだっけか?」

悠「ま、そうかな。聴いてみるか?」

紅「難しいのは眠くなる」

悠「難しくなんてないさ、ピアノやマリンバの単純なメロディを、ほんのわずかな時間ずらして延々と繰り返していく。そうしたら音と音が干渉を起こして、厚いところと薄いところが縞模様みたいに浮き上がってくる。聴覚的モワレ現象。メロディじゃなく音のずれを聴く音楽だ。」

紅「zzz…zzz…」

悠「いつからそんな小ボケができるようになった。」

紅「あはは。」

悠「ったく。あ、美喜。シャルトリューズ・トニック二つ。」

美喜「はいはい。澪、しんご。」

澪「はい。んじゃ、俺が先に作るから次はやってくれ。」

しんご「わかった」

澪「材料はシャルトリューズ、トニックウォーター、スライスライム。まず、氷を入れたグラスにシャルトリューズを注ぐ。冷えたトニックウォーターで満たして軽くステアする。っで、最後にスライスライムを飾る」

しんご「ライトカクテルだな。ペパーミントやチェリーブランデーでもいいのか?」

澪「あぁ、アマレットみたいなリキュールでも作れる。」


紅「うん?悠、iPodにこんなストラップつけてたっけ?」

悠「最近ちょっとな…」

紅「女がらみ?」

悠「かもな。」

紅「ほー、へぇー、ふーん」

悠「……今すっごく、横っ面ぶん殴りたくなった。」

紅「おー怖…。」

悠「うっさい。iPodを返せ。」

紅「へいへい。しっかし、アレだよな。」

悠「ドレだ?」

紅「携帯は不携帯な癖にiPodは持ってるんだな。」

悠「コイツは標準装備なんだよ。んで、次いで財布。三位がPSPでDSいって……携帯の必要性は……かなり低いな。」

紅「いやいや、結構必要だろ。」

悠「電話に出なくていいなら携帯する」

美喜「携帯電話の意味無いわね。」

悠「めんどうくさいんだもん。」

美喜「連絡とれないじゃない」

澪「あ、メールは?」

悠「メールはいいな。用件見て終わりだし」

紅「返信は?」

悠「基本は「わかった」「いや」の二つで済ます。」

美喜「なに、コミュニケーション拒否かなんか?」

悠「確かに集団行動は苦手だが、話すのは嫌いじゃないぞ。ただ、電話とかじゃなくても会って話せばいいだろ?」

美喜「会うためにまず、携帯で連絡しなきゃダメでしょ」

悠「そーなんだよなー。矛盾してるよなー。会って話せばいいのに、会うために連絡を取らなきゃいけないんだからー」

紅「まぁ、悠の場合は会わなくてもダイジョブなんじゃね?」

悠「どういう意味だ?」

紅「なんもしてなくても、うろうろしてたら人寄ってくるじゃん良し悪しは解らないけど」

悠「八:二で悪いだな。貧乏くじ係りだから。」
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