ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】5

ーラスタ・ラヴー

悠「……」

拳二「ふぅ~…」

悠「けど、お前なんでさっき熱くなった?」

拳二「あー?」

悠「らくしねぇ。っていいたいっぽいよ。」

拳二「俺はなあんまり好きじゃねぇんだわ。ホラーのゾンビもんとかは…」

悠「ぁん?」

拳二「漫画やテレビン中ってのはわかるんだけどよ……どいつもコイツも命をかけて守るとかぬかしやがるだろ?安くせぇどっかのヒロイックファンタジーの主人公かっつーの…死んじまったら敗けだろ?」

悠「さぁねぇ…俺は他人の死概念に語れるほど悟りを開いちゃねぇぞ。」

拳二「概念とかはどうでもいいんだよ。死んじまったら敗けって話だ。そう思わね?」

悠「さぁな。死なない生きもんは無いだろ。ようは早いか遅いか…」

拳二「ちげぇよ!そんなくっだらねえ事じゃない。俺がいいてぇのはなんで自分が生きるために戦わねえっかてことだ。」

悠「あー?」

拳二「俺はいつだって誰かをぶん殴るのは自分のためだぜ?自分が望んだ未来を自分の拳で手にいれるためだ。」

悠「勇猛果敢だな。羨ましいよ…その精神が」

拳二「ヒキョーモンになりたくねぇだろ」

悠「あ?」

拳二「残された連中に責任おっかぶせて自分だけ死のうなんざヒキョーモンでなくてなんだよって話だ。んじゃまたな。」

悠「おう……拳二」

拳二「あー?」

悠「次はどっか居酒屋で会おう。」

拳二「かっかっか。オメェが接待しろや。」




悠「ふぅ」

美喜「前から思ってたけど、あの人暑苦しいわね。」

悠「生粋のバカだからな。バカ…バカだけどあれが強者なんだよなぁ」

澪「?」

悠「崇、拳二は似てる。だけど、俺とあの二人は全く違う。さて、その違いは?」

澪「いや、ちょっと…?」
美喜「体格…とかじゃ無いわよね。」

悠「俺は武、向こうは攻めの者だ」

澪「武術家と喧嘩屋って…ことか?」

悠「概ねそうだな……武ってのは本来、身を守るための術。即ち守こそが武の本質…けど、守抜くってのは攻め抜くよりも数倍難しい。攻め手は打ち始めから拳が相手に到達するまで時間にしたら0.1秒もかからないが受け手はどんな鍛練(トレーニング)を積んだ者でも守備の動作に0.2秒以上の時間がかかる…」

澪「つまり、守にまわった方が圧倒的に不利なのか」

悠「あぁ。武は弱者の立場から成立して、強者に対する卑屈なまでのコンプレックスから生まれてる。崇や拳二は一切の技術をもたない……武が最も苦手とするのはその成り立ちが示す通り攻めの者……生まれながらの絶対的強者だ。」

美喜「……悠は?」

悠「必死に喧嘩道だけで貫こうとして結局は技術に頼ってる。強者にも弱者にもなりきれない……ハンパ者だな。だから、なんで崇や拳二が俺を構うのか理解できん…。」
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