ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】4

ーラスタ・ラヴー

紅「いいけど、断られる可能性の方が高いからな。」

翼「あぁ、いけそうならでいいから。」

紅「わかった。ちょい待ってな。……崇さん。すいません。」

崇「なんだ?」

紅「ちょっと話したいってツレが来てるんです」

崇「……わかった。本郷、全員を外に出せ。」

本郷「ふっ…。」

紅「んじゃ、ガンバ。」

翼「あ、あぁ…えと、突然すいません。」

崇「畏まるな、まぁ、座れ。立たれてると首がいたい。」

翼「あ、はい…」

崇「……コンビニで強盗を捕まえたそうだな。」

翼「えっ…なんで…」

崇「この街の事ならすぐに耳にはいる。いい話しも面倒事もな。」

翼「は、はぁ…。」

崇「それで、話しはなんだ。」

翼「あ、はい。虎狗琥さんは悠に依頼を命令してるんですよね。それで、噂の真相はどうなんです?ヤバそうな事件から人探しまで解決してるって…」

崇「……ふぅ、酒はいける口か?」

翼「え、あ、はい。いただきます。」

崇「勇城だったな。今の質問は前提が間違ってる」

翼「前提?」

崇「ふふ、俺はな一度も悠に依頼を命令した事はない。ただ悠を探してる奴がいるから紹介してるだけだ。そのあと、仕事を承けるも、承けないもアイツ次第だ。まぁ…大抵は承けるけどな。」

翼「それは悠が優しいからですよね。」

崇「優しい?はは、違うな。アイツはな暇潰しのネタに飢えた魚だ。好奇心をぶら下げてやれば勝手に食い付く。つまり…暇人だ。」

翼「そこがわからないんですよね。」

崇「……あぁ、要するに暇潰しでも人助けをしてるといいたいのか?」

翼「はい。」

崇「ふむ…。こういえばいいか…お前の行動と悠の行動は似てるようで大きく違う。たまたま通りすがりに強盗が居たから取り押さえた、車に轢かれそうなガキが居たから助けた。それを無償かつ助けたと思わないでやれるのがお前だ。いわばヒーロー(英雄)だな。」

翼「そんなんじゃ…」

崇「謙遜するな。俺は人助けを褒める気は無いが、お前の気心は認めている。すくなからず今までにはいなかったタイプの人間だ。」

翼「は、はぁ…それで、悠は?」

崇「アイツはもっと片寄ってる。気に入った、気になった奴しにしか力は貸さない。決定的な違いは善も悪でも関係ない所だ。出会い方次第では犯罪者にでも着く。だから面白い」

翼「面白い?」

崇「あぁ…口ではなんといっても、奴はけして人生を否定的に見ない。時に無力を痛感しても…アイツは人生や人間を愛している。悠は、人を拒絶しない。たとえ依頼人の目に露骨な失望が浮かぼうが、追い返したりはしない、巻き込まれたような形にはなるが、結局自分の方から事件に首を突っ込む。なのにその行いは常に灰色だから評価されない…バカだろ?」

翼「バカですね。ホント…バカだ。」

崇「アレはジョーカーだ…使い方さえ間違えなければ最強のカード。ヒーローとジョーカー…なかなかユニークな組み合わせじゃないか。」

翼「そうですか?」

崇「ああ、違うからこそいい。違う刺激があればジョーカーはまた成長するからな。」

翼「虎狗琥さんは悠が好きなんですね。」

崇「ふふ、トランプを知ってるか?あのカードのなかでKINGは最強の絵札だ。だが唯一JOKERはKINGを殺せる。楽しみで仕方がないいつか奴が俺と対峙する日を、そのときKINGがjokerを喰らうんだからな。だから俺はゆっくりと待つ。上手に上手に料理されるのをな……」

翼「悠が男に好かれる理由がわかった気がしますよ。王様に見染められてるんだから…」

崇「あいつの魅力は残念ながら、その辺の女にはわからんのさ。わかるのはたった一握りの本当にいい女だけ。だが、アイツはそれを必ず手放す。悪循環だな、くっくっく。ま、強い男に女は邪魔になる。これからも女にモテないままで居たらいい。」

翼「悠が聞いたらキレそうですね。」

崇「それはそれで面白いな。……それと、勇城翼、ありがとう。」

翼「は、はぃ??」

崇「さっきは言わなかったが、あのコンビニの店長はS・ウルフのOGでな。話は通っていたんだ。だから、これは俺個人からの礼だ。」

翼「はは…なんか、照れます…。」

崇「それで聞きたいことは終わったか?」

翼「はい、おかげさまで。」

崇「そうか。本郷」

本郷「ふっ。」

崇「車で送ってやれ。」
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