ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】4

ーラスタ・ラヴー

悠「…悪い。一時間だけ寝かしてくれ」





美喜「って言ってかれこれ二時間ね。しかも…なんでここ数日閉店間際にここで寝るのかしら…腹立つわ。」

澪「けど、珍しいですよね…普段なら夜通しいて明け方に起きるのに、明け方に寝にくるなんて」

美喜「こっちはいい迷惑よ」

悠「くぅ…すぅ…」

カシャン

澪「あーあ、財布落として……って、なんだこれ名刺の束?」

美喜「うわ…全部キャバ嬢のだし…もしかしてコイツ夜な夜なキャバ巡りしてんの?」

澪「いや…まさか……けど、香水の匂いが悠から…」

悠「んを……ふぁ~ぁ…いまなんじ?」

美喜「もうすぐ四時よ。さっさと帰りなさい」

悠「ここ泊めてくれ…」

美喜「嫌よ。」

悠「頼むよ明け方家に帰るとまおの機嫌が悪くなるんだから」

美喜「機嫌が悪くなるのは他に原因があるんじゃない?」

悠「あー?」

澪「悠…悪い。財布拾ったとき…この名刺の束」

悠「……あーそれな。っか、これとまおの機嫌は関係ないだろ」

美喜「解ってないわね。好きな人がいて、その人から女の香水の匂いや、キャバ嬢の名刺なんかあってみなさいよ。もう憤慨ものよ?そして、なんで怒ったのか理由がわからない…それでついに気づくのよ…もしかして、私はこの人が好きなの?って」

澪「オーナーどしたんすか…乙女オーラが溢れてますよ」

美喜「夜中過ぎたら少しくらいテンションが壊れてくるわよ。」

悠「あのなぁ…まおの機嫌が悪くなるのは連絡なしに朝帰りするからだよ。第一俺に、そんな焼きもち焼いてくれる女はいないっての…ふぁ~ぁ…」

美喜「わからないわよ。普段は何気なく接してる人が、気づかない思いをふとしたきっかけで気づいてしまうなんてざらよ」

悠「少女漫画みたいな事を…っか、そんな相手居ないから。」

澪「けど、俺少しショックだぞ。悠は何だかんだいってもキャバクラ通いなんかするタイプじゃないと思ってたのに」

悠「俺だって好きで通ってねぇし。」

澪「っていうと?」

悠「拳二のバカに頼まれたんだよ。最近一ノ瀬組のキャバに妙な客が来てるから調べてくれって」

美喜「なんだ、いつもの仕事か」

悠「そうだよ。まぁ…少し楽しんだのは否定しないけど」

澪「けど、気を付けないとホントに勘違いされるぞ。香水の匂いもだけど…この名刺なんかリップマークまでついてるし。」

美喜「こっちは電話番号と住職まで書いてあるわね。」

悠「ふぁ~ぁ……勘違いしてくれる女がいたらいいんだけどな…あ~ねみい…もう今なら道路でも全然寝れる…」

美喜「店の前で寝ないでよ。」

悠「ちえ…わかりましたよ。」

澪「途中で寝るなよ?」

悠「頑張る……うん、たぶん。だいじょうぶ…。」

澪「不安だな…」

美喜「てゆーか、キャバ嬢の名刺置いてかないでよ」

悠「この厚みになるとぽろぽろ落ちるんだよ…ふぁ~……帰りつくかな」
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