ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】3

ーラスタ・ラヴー

悠「ん~……ふあぁ…。むにゃむにゃ…」

紅「くぅー…くぅー…くぅー…」

美喜「……」

澪「起きないですね…。」
美喜「そうね。ねぇ、リッカ。」

六花「はいー?」

美喜「あの二人の腹部に足を振り下ろしてくれない?ジャンピングニーでもいいけど」

澪「良くないですよ?!もっと平和的な起こし方が幾つもありますから!」

六花「フライングエルボーとか?」

澪「平和って意味わかってる?」

六花「平然と和風」

澪「ぜんぜん意味が繋がらないなぁ」

美喜「なんでもいいけど…氷水かけようかしら。」

澪「冬です。今、冬ですから…」

美喜「ちっ…」

澪「……(閉店時間過ぎてるから、苛立ってるなぁ)」

六花「おーい、悠くん起きたほうがいいよー。」

悠「うにゅー…ゆでたまご…。」

澪「お空か…いや、もしかしたら坂東さん?」

六花「紅さーん、起きないと風邪引きますよー。」

紅「うーん……やっぱり…赤…いや、スカーレットで…」

澪「なんの夢見てるんだろう…。」

美喜「いいからもう起こしてちょうだい。」

澪「はい。悠、悠。いい加減起きろよ。」

悠「うぅん…なんだよ…人が気持ちよく寝てるのに…」

六花「紅さーん。おきてくださーーーい。」

紅「お、おぅ…リッカ?」
美喜「やっと、起きたわね。もう店じまいなんだからとっとと帰りなさいよね。」


悠「……おなかすいた。」

美喜「まだ、寝ぼけてるわけ?」

悠「っはぁー…いや、一眠りしたらなんか腹へってさ。」

紅「あ、俺もだ。」

澪「そういわれたら俺もなんか腹へりましたね。」

六花「あたしもー。」

美喜「って、言われてもここで食べれる物なんかたいしてないわよ。」

澪「ですよね。夜中の三時だしファミレスかどこかいきますか?」

紅「ファミレスなぁー…なんかこう面白みが欲しいな。」

美喜「面白みってなによ。ナマコの踊り食いでもしたいわけ?」

紅「うぇっ…胃の中のもの全部吐き出しはそうだな」
悠「変わりだねって言うのなら猫まんまとか。」

美喜「はぁ?」

悠「いや、美味くね?猫まんま。かつぶしをごはんにかけて食べるの。ひとときの幸福を、しみじみと味わうって、まさに日本の夜じゃん。」

澪「悠、お得意の語りがはじまった。」

悠「かつぶしは偉大なんだよな。日本の食事のいろんな旨味を引き受けてる。それでいて表にでない。出てくるときはホウレン草のおひたしや、冷奴の上にのっかって、ふわふわ、風に誘われてるように揺れている。さりげなく屈託がない。あったかいごはんにのっけてお醤油をかけて食べたいだろ。」

紅「そこまで語ったからには悠が家に招待してごちそうしてくれんだよな。」

悠「は?まぁ、猫まんまくらいなら食わせてやるけど……絶対にまおを起こすなよ。あらゆる意味で怒るから」
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