ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】3

ーラスタ・ラヴー

小雪「もうすっかりクリスマスシーズンだよね。小鳥君。」

悠「だなー…」

小雪「でねー。私、ブッシュ・ド・ノエルを作ろうかと思ってるかな。」

悠「へー…」

小雪「……明日は雨かな?」

悠「んー…」

小雪「ことりくん!話聞いてるのかな!」

悠「聞いてる、聞いてる。今年は柳葉魚(ししゃも)が不足してるって…」

小雪「そんな話してないかな!!」

悠「あぁ…南極震動があったから寒気がきて冬本番って…」

小雪「知らないかな!てゆーか、私の話、全然聞いてなかったのかな?!」

悠「うん。」

小雪「うぅ…キッパリハッキリ言われたかな……」

ともき「あのさぁ、悠。すこしくらい、久瀬さんの話まともに聞いたげろよ。」

小雪「とも君はやさしいかな♪」

悠「いや、だって、偶然会って暇だからって着いてきただけの奴だぞ。」

ともき「俺たちだって予定があった訳じゃないだろ。」

悠「まぁ~そ~だけどな~」

小雪「ことりくんは冷たいかな…」

ともき「いや、アレだよ。なんだかんだ言ってるけど久瀬さんに会って、帰りがひとりにならないように気を効かせてるんだよ。アイツ。」

小雪「……ホントかな?」

悠「まぁ、子供を街中に放置しとくと迷子になるからな。」

小雪「子供じゃないかな!!」

ともき「はぁ……」

澪「悠、楽しんでるな。」

ともき「イジメッコっか、いたずらっ子だからな。」

美喜「からかうのが楽しくて仕方ない感じが見え見えなのにあの娘もわからないのかしら。」

ともき「根が素直なんだろきっと」

悠「わーった。わーった。話聞いてやるから、騒ぐな…ったく、子供はこれだから…」

小雪「だ~か~ら~ブッシュ・ド・ノエルを作ろうかと思ってるかな!」

悠「いいじゃん。美味くできたら俺にも食わせてくれ。」

小雪「え、あ、お…うん、いいかな!」

悠「チョコは止めろな。俺食えねえし。」

小雪「クレーム・オ・ブール・オ・マロンで作るつもりかな。」

美喜「クレーム・オ・ブール・オ・マロンってなに?」

悠「栗のバタークリームだ」

澪「バタークリームって…ガキの頃食ったことあるけど…美味くないデコレーションケーキに塗ってあるあれか?」

美喜「ギトギトヌトヌトのアレね…」

小雪「昔のバタークリームはマーガリンやショートニングなんかの代用バターで作ったものが多かったからかな」

美喜「じゃあ、ちゃんとしたバタークリームなら美味しいの?」

小雪「美味しいかな。バターのいい香りとこくがあってけど口解けはさらっとしてるかな。」

ともき「けど、あれってバタークリームのベースになるパータ・ボンブを作るのが肝なんだよな。」

澪「パータ・ボンブ?」

悠「卵黄に煮詰めた熱いシロップを加えたもんだ。気を付けるのは卵黄に火が通るまでミキサーでよく泡立てること」

美喜「……ねぇ、ブッシュ・ド・ノエルを作ってきてくれない?」
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