ｰ焼肉屋鉄ｰ

拳二「つまり…やっぱ女は愛嬌な訳でな。」

悠「しつけえ！っか、もうお前に女は無理だよ。諦めろ。」

拳二「んだと！」

金剛「盛り上がってる所、少しいいか？」

悠「豚か？和牛盛りか？」

金剛「肉じゃなく客だ。」

ともき「よう。」

梓「ちぃっす。」

紅「お、二人どうした？」

ともき「悠からメール貰ったんだ」

梓「焼肉食べ放題だから来ないかって」

拳二「いつのまに食べ放題になった？」

悠「どうせ腐るほど金持ってんだろ。」

拳二「アホか！！」

悠「二人とも好きに注文してくれ。」

拳二「このガキャ…」

ともき「いいのかな。」

梓「どうだろ…」

拳二「～～っ…あぁ！いいよ！ガキが遠慮すんじゃねぇ。」

紅「おっさん太っ腹！」

拳二「アホ！俺様の腹はガチガチじゃい！」

戌塚「うぉ！チョコレートみたいに割れてるぞと」

悠「脱ぐな脱ぐな…」

金剛「1、2……9人か。流石に狭いな隣の個室もあけるからそっちも使ってくれ。」

ともき「ありがとうございます。」

梓「じゃ、遠慮なく。和牛特盛り皿とサンチュとキムチ盛り。」

ともき「じゃあ、俺はササミの梅肉ハサミとハツとミノ。」

金剛「あいよ。ちょいと待ってな。」

戌塚「ミノってなんだぞと？」

ともき「ミノは胃だ」

美喜「ハツって何処の部位だっけ？」

悠「ここだ、生命の鼓動を感じる心の臓だ。」

澪「なんで、回りくどい言い方だ。」

悠「じゃあ、ピュアハートです」

拳二「お前のはもう薄汚れてるよ。むしろギザギザハートだ。」

悠「ちっちゃい頃から悪ガキで…ってうぉい！」

紅「ピュアはないなぁ」
ともき「無いな。」
梓「無い。」

悠「うっちゃい！」

金剛「和牛盛り皿二つお待ち。」

ともき「うわっ、多いな…」

紅「一皿でも結構な量あるぜ。あれ。」

金剛「団体客用の盛りだからな。この皿で三～四人前くらいだ。」

千夜「これ食いきれんのか？」

悠「いけるさ。無理なら更に援軍を呼ぶ。」

拳二「こいつ他人の金だと思いやがって調子こいてるな」

戌塚「わぎゅう、わぎゅうだぞと♪」

ともき「いい肉っぽいな霜降りがスゴい」

金剛「まぁ、いい肉だからな。」

戌塚「ほーい、質問だぞと」

金剛「なんだ？」

戌塚「和牛と国産牛ってどう違うんだぞと？」

金剛「……」

戌塚「？」

金剛「えーと……味？」

戌塚「なぁんだ味かだぞと」

紅「そうなんだ」

千夜「んな訳あるかよ」

金剛「……悠。」

悠「簡単に言えば種と産地の違いだ。和牛ってのは日本在来牛と近代に輸入した牛を改良した牛の事。黒毛和種とか聞いたことあんだろ？対して国産牛ってのは国内で出産された牛だ。日本国内で生まれたならホルスタインも外国種も国産牛に当てはまる。」

「「「へぇ…」」」

金剛「そうなのか。」

悠「焼肉屋の倅がそれでいいのかよ…」