ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】2

ーラスタ・ラヴー

悠「贅沢?」

美喜「うん。悠にとって食での贅沢ってなに。」

悠「そうだな。ネギかな。」

「「「……」」」

梓「え?なに?」

悠「だーかーらー葱だよネーギ。たまに万能ネギいっぱいかかってる店とかは最高の贅沢だろ。」

美喜「ごめん、よく分からないのは私だけ?」

澪「いや…俺もっす。」

悠「だって万能ネギってぜいたくネギじゃん!子供の頃なんて外食でしか口にできない憧れのネギでさあ。家で味噌汁とか納豆とかに万能ネギたっぷり入れたいじゃん。」

ともき「なるほど、薬味がいいと確かに贅沢な気にはなるな。」

悠「だろ!」

梓「じゃあ、薬味がたっぷりあれば悠は満足なのか?」

悠「難しいな…。まぁ、その日気分だろ。こってり中華が食いたかったり、あっさり和食がよかったり。」

梓「なるほど。よくわかる。」

ともき「分かるんだ…。」
拳二「なんだ、腹へってんのかお前ら。」

悠「あ、拳二。腹へってたらなんか食わせてくれるのか?」

拳二「しゃーねーなぁ。たまには俺様がいい店に連れてってやるか。」

悠「女体盛りとかはいいぞ」


拳二「じゃあキャバか?」

悠「飯食いにってんだろ!」







ー下北沢駅近くー

店員「先付と八寸でございます。ふぐの煮こごりとちりめん山椒、子持ち昆布と水菜のおひたし、ゆず釜の中はかにのしんじょと穴子のお寿司とくるま海老です。」

悠「あーこの水菜のおひたし、いいお味ですがなー」

拳二「ここはオジキがよく接待される店だ。遠慮せずに存分に食え。」

ともき「は、はぁ…」

梓「じゃあ、遠慮なくいただきます。」

澪「んっ…オーナーこの煮こごりヤバイっすよ。」

美喜「んっ、これ?あー!上にかかってるの酢味噌なんだふぐの煮こごりとあうー!」

悠「うわ、スゲーさっぱりしてうまい」

拳二「酒は特別純米酔鯨(すいげい)やるか。」

店員「名残の鱧と松茸の土瓶蒸しでございます」

梓「うわ、松茸ザックザク!」

ともき「鱧も二切れも入ってるな。」

澪「すだち絞らなきゃ。」
美喜「はぁー…出汁が美味しい」
悠「はふー…出汁が美味しい」

店員「お作りです。左上から横にヒラマサと戻りガツオ、アイナメにアオリイカ、昆布〆したアズキハタ。葉の上に乗っているのがイシガキダイでございます。よろしかったらイシガキダイはキュウリ、万能ネギ辛味噌と一緒にサラダ菜の上に乗せて巻いてお召し上がり下さい。」

美喜「シャクッ!うわこれ、この辛味噌がおいしい!」

ともき「白身魚と合うな。」

悠「酒が進む!」

澪「戻りガツオもミョウガたっぷりでどの刺身も身が厚い!」

梓「うめえ~~!旬だ~~!」

悠「ヒラマサもスゲー脂のってるよ。」

店員「鰆のカマの部分の焼き物と松茸の山椒煮でございます」

美喜「えー!?焼いてるのに何でこんな身がしっとりしてるんだろう。全然パサパサしてない!」

ともき「は~~塩加減が絶妙だよ。こりゃうまいなあ…」

店員「鯛とエリンギの昆布蒸しでございます。ポン酢ともみじおろしのタレにつけてお召し上がり下さい。」

澪「これ…絶品!絶品だ!やわらかくてみずみずしい」

梓「うーおー昆布の旨味がしみてる」

店員「百合根饅頭でございます。鴨の挽き肉の入った百合根饅頭をあげて上にあんかけをかけたものです」

悠「どうしよう。これも美味すぎる。すった百合根がほっこり甘い!」

拳二「かかってるあんもうめぇな。」

店員「先ほどお造りでお出ししたアズキハタの頭を使った炊き込みご飯です。ごはんの残った分はよろしければ折にお詰めいたしますので」

梓「うっは…すげえ迫力」

ともき「ああ腹はもういっぱいのハズなのにするすると…」

澪「この魚のアラの入った味噌汁すっごく美味い」

店員「お口直しのアロエと柿の入ったココナッツゼリーでございます。」

美喜「はーさっぱりするねぇ」

拳二「ああ食った食った。どうだ、満足したか?」

「「「ごちそうさまでした。」」」

悠「いい夜だな」

拳二「ああ、いい夜だ」
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