ー談話ーラスタ・ラヴへようこそ【Ⅱ】~9

ーラスタ・ラヴ(12/16/夜)ー

雲水「殴って欲しいって?」

悠「いってねぇっ!!」

ともき「すごいな第一声が殴って欲しいって」

悠「神姫も人の爪剥ぎたいとかふざけたこというけど、こっちのおっさんもふざけてるわ」

雲水「がははは、相変わらず道玄の娘はおもしれぇな」

悠「なにも笑えないし面白くもない」

後楽「面白くないなら……面白くすればいい」

悠「恰好つけてるけど、そういうなら面白く仕事しろ」

後楽「嫌だ」

悠「握殺!」

ぐわっしゃん!!

後楽「あーあ、小型狸の置物が握りつぶされた」

悠「ぎゃーー!破片が!破片がぁー!」

ともき「大丈夫か?」

悠「刺さってない」

ともき「……」

ザクッ!
悠「痛い?!」

紅「結局刺さったな」

悠「これは刺されたっていうんだよ!」

紅「~~!」

雲水「どれ、傷を見せてみろ」

悠「あー、いいよ。こんなのすぐに治る。」

雲水「そうだとしても消毒はしておいた方がいいだろ」

悠「なんだ、おっさん。傷薬もってるのか?」

雲水「酒だ」

ばしゃ!
悠「滲みる!!」

雲水「これで安心だな」

悠「どんどん痛い方、痛い方に流れていってるんだが」

紅「痛いの好きなんだろ」

悠「そんなマゾい趣味はない」

雲水「鍛錬てのは痛みを乗り越えてくもんだ。このぐらいの痛みどーってことねぇだろ。」

悠「むしろこういう痛みのがジンジンくるんだよ」

後楽「兄ちゃんも歪んだ性癖してんな」

悠「……」

ゴッ!
後楽「ぐはっ!」

悠「おっ」

紅「当たったな」

雲水「怒りの無心になったんだろ。小僧の拳は雑念がこもり過ぎてる。殺気で読まれるんならその殺気が届くより早く殴りゃあいい」

ボッ!ボッ!
悠「いや、拳圧だけで結構な風がおれの顔を打ってるアンタは異常だから」

紅「なるほどな。」

ともき「納得できるのか?」

紅「あぁ、考えてみりゃあ。崇さんの拳なんて殺気も恐怖も何もかもを置き去りにして当たった事実だけを残してるし」

悠「あれの拳はキングクリムゾンか」

後楽「それより殴られたおじさんの心配してよ」

悠「骨とか折れてたなら祝ってやる」

後楽「またまたぁ、心配で泣いちゃう癖によォ」

悠「嬉し泣きだよ」

ともき「どっちもどっちだな」

雲水「めんどうなのに好かれとるんだな」

悠「半分取り憑かれてんだよ」

後楽「いやぁ、すげぇ居心地いいぞ。おじさんは」

悠「人の金で遊んで酒呑んでりゃ楽しいだろうよ」

後楽「おうよ!」

悠「……」
だらっ

ともき「怒りのあまり唇噛んで流血しとる」

紅「悠は血が映えるなぁ。夏場ならお化け屋敷からスカウト来るぞ」
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