ー談話ーラスタ・ラヴへようこそ【Ⅱ】~9

ーラスタ・ラヴ(12/12/夜)ー

悠「寒さのせいで指の腹が割れた」

ともき「それはただの手荒れじゃないのか」

紅「なんで手荒れなんてしてんだ?」

悠「そりゃ、おれは水仕事めちゃめちゃしてるし」

紅「……」

悠「なんだその信じられなって目は。家でも茶屋でも頑張ってんだぞこの野郎」

紅「疑うわけじゃないけど……全部は信じられない」

悠「なんで疑われなきゃならない」

ともき「普段の行いを見直せってことだろ」

悠「まるで仏のような行いだ」

ともき「仏がブチ切れて殴りかかってくるぞ」

悠「かかっこいやー!死にぞこないどもが!」

紅「仏は死にぞこないじゃないんじゃないか?死んでるから仏なんだし」

ともき「根本的に仏に喧嘩売るなよ」

悠「仏の道を歩む奴が善人とは限らないから良いんだよ。妙見とかな」

ともき「妙見て……鹿又先生か?良い先生じゃないか」

悠「ともきは本質を知らないから」

ともき「なにが?」

悠「ペチュニア……あ、間違えた別に」

ともき「あり得なさすぎる間違い方だな」

悠「べちゅにっとペチュニア似てるだろ」

ともき「べちゅにつて言い方の時点で間違ってんだよ」

紅「はははっ!」

碧「また呼吸困難になるぞ……」

後楽「うぃー、寒い寒い。兄ちゃん。バーテンさん頼むわ」

悠「正拳突き!」

ぐわっしゃーん!

後楽「おいおい、兄ちゃん。いきなり何なんだ。」

紅「目にもとまらぬ変わり身の術だな」

ともき「なにが細かいってタヌキの置物を置いてくってところだよな……」

悠「やかましいわ!なにいけしゃあしゃあと酒呑んでやがる!」

後楽「おじさん、お酒呑まないと手が震えちゃうんだよ」

ともき「いや、ただのアルコール依存症の禁断症状なだけですよね。それ」

悠「業務用エタノール煮えたぎらせてコイツにぶっかけてくれないか?」

後楽「おじさん、飲めるお酒が良いな」

悠「酒をやめろ」

後楽「無理」

悠「……」
ギリギリ……

ともき「流血しそうな勢いで歯くいしばってるな」

紅「なんでそこまで大目に見てるんだ?」

悠「みてねーよ!」

後楽「まぁ、兄ちゃんも何だかんだ言っておじさんが居ないと寂しいんだろぉ?」

悠「おれにとってお前は塵芥にひとしい」

後楽「塵も積もれば山となるっていうぜ?」

悠「それでもただのゴミの山だろ。」

後楽「かっかっか、たぁーしかにな!」

悠「だめだ……どうしても殺意しかわかない」

ともき「まぁ、この件ばかりは同情せざる得ない」

悠「だろう!」

後楽「へへっ、まぁ仲良くやろうぜ。年の瀬なんだし」

悠「そうだな。大掃除の時……処分してやる」

後楽「兄ちゃん、目がマジだから怖いんだよな。まーた、嬢ちゃん達に菓子でも渡しとかないと……」

碧「なんかからくりが見えたな」

紅「悠がキレる、娘がかばう、うやむや……か」

ともき「なんだかんだで後楽さんのが上手なんだな」

碧「天性の嘘つきの悠も、数百あるいは数千年の間、あらゆる人間を騙し化かし続けた狸とは相性が悪いんだろ」

ともき「不毛な争いだな」
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