ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】2

ーラスタ・ラヴー

拳二「はぁ……あー…はぁ…」

悠「中年のため息ほど汚いものはないな。」

拳二「埋められたいかコラ?」

悠「俺が消えたら、数少ないカタギのツレを無くすことになるぞ。」

拳二「フンッ」

澪「どうぞ。ギブソンです。」

ギブソン
36度辛口ステア

ドライジン50ml
ドライベルモット10ml
パールオニオン

材料をミキシンググラスでステアしてカクテルグラスに注ぎ、パールオニオンを沈める。

拳二「おぅ。」

澪「けど、どうしたんすか天下の一ノ瀬組の本部長代行がため息なんて」

悠「更年期障害かなんかだろ。」

拳二「そこまで老けてねえ」

澪「不景気っすか?」

拳二「景気なんざ、物心ついた時からだ…。」

悠「じゃあなんだよ。鉄砲玉役にでも選ばれたのか」

拳二「すぅ……ふぁあ~~……。コレだよコレ。」

悠「こっち向けんなくせぇ。」

澪「煙草?あ、今日から値上がりでしたね。」

拳二「おうよ。ざけてやがっよな。なんでバカバカ煙草の値上げしやがるのか。こちとら一日何箱吸うと思ってやがる。」

澪「二箱ぐらいですか?」

悠「七、八箱だよ。コイツは超じゃすまないテラスモーカーだからな。」

澪「八箱って…身体大丈夫なんですか。」

拳二「今までなんともねえから余裕だ。っうより、ヤニが無い方が調子悪い。」

悠「ぜったい、お前血液の変わりにタールが流れてるだろ。」

拳二「なら、お前は酒が流れてるな。って、話してる間に切れたよ。おい、兄ちゃん。煙草売ってくれ。マル赤でいい。」

澪「あ…スイマセン品切です。」

拳二「ぁ、品切?」

美喜「うちも朝からカートン買いするお客が多かったのよ。」

拳二「ガキの分際でカートン買いだぁ?」

美喜「安いうちに買い込んでストックが無くなったら止めるつもりじゃないかしら。」

拳二「マジか。しゃあねぇ、兄ちゃん悪ぃがひとっ走り買ってきてくれねぇか。釣りはいらねえから。」

澪「あ、いいっすよ。」

悠「っか、拳二もカートン買いしたのか?」

拳二「おう。若いのに走らせてある。」

悠「何十カートン買う気だよ。」

美喜「それでもすぐに無くなりそうね。」

拳二「まぁ、数ヵ月は持つだろ。」

悠「数ヵ月かよ。」

拳二「けど、そのあとが困るんだよな。お前の会社でどうにか安く流せないか?」

悠「アホか。だいたい俺の会社じゃねぇし。」

拳二「はぁ~」

悠「お前もこの際禁煙しろ」

拳二「俺に死ねっていうのか」

悠「無茶苦茶だな。」
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