ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】2

ーラスタ・ラヴー

美喜「そろそろ、季節ものを織り込もうかしら。」

澪「季節もの…ですか?」

悠「なんだ、料理でもメニューに加えるのか」

美喜「違うわよ。あくまでもカクテル系で季節感を出したいの。」

澪「はぁ…言わんとしてることは解りますけど秋の感じを出すカクテルになると……フルーツ系になりますよね。」

美喜「そこが難点よね。女性層には受けるかもだけど……」

悠「主にこの店にくるのは若いガキ。しかも男が半数を占めるな。」

美喜「なのよね。」

澪「秋はブドウって事で赤・白ワインベースのカクテルにしたらどうです?」

悠「味のわからんガキにワインカクテルは勿体ないだろ。」

澪「何気に酷いな」

美喜「ただ全否定出来ないところが痛いわね。」

澪「……確かに。」

悠「ま、やるなら、こっち(VIPルーム)だけでいいんじゃないのか。本郷やら崇やらなら舌は肥えてるだろうし、多少高くても文句は言わないだろ。」

美喜「キングは基本的にウィスキーしかやらないわ。」

澪「それに本郷さんは呑まないぞ。」

悠「はっ?なんで、アイツ、下戸じゃないだろ。」

澪「呑めない事はないみたいだけど、運転できなくなるだろ。」

悠「あぁ……そうか。本郷は崇の足だったな…。って、じゃあ普段なに飲んでるんだアイツ。」

澪「牛乳か青汁」

悠「ギャグか?」

澪「マジだ。牛乳は六花と居るとき、青汁は……なんでだろうな。」

悠「アイツも愈々(いよいよ)解らんなぁ。っか、青汁置いてんだな」

美喜「お客のニーズに答えるのが大事だからね。」

悠「なら、ツマミ。ツマミをメニューに加えてくれ。」

美喜「却下」

悠「なんで即答」

美喜「うちはバーなの。呑み屋じゃないのよ。どうせ、枝豆とか刺身とか要求する気でしょ」

悠「否定はしない。」

澪「はは。けど売上げから見れば、悠と崇さんがぶっちぎりだけどな。」

悠「そなのか?」

美喜「まぁね、悠と飲む人の大半が代金をアンタにつけてるし。」

悠「初耳なんですけど?!」

美喜「あれ、そうだっけ?」

悠「そうだっけ…って……俺いつも自分の分しか払ってないぞ。」

美喜「帳簿にはつけてあるわ。支払いはカードでも良いわよ。」

悠「聞きたくなかったし…頭痛くなってきた。……って、崇は、崇はどうなんだ。」

美喜「なにいってるのよ。キングはカクテル一杯でも万札置いてくわよ。」

悠「ウワオ…」

美喜「まぁ、小銭もつようなタイプじゃないし。財布も多分お札しか入ってないんじゃない?」

悠「ブルジョアかよ…」

澪「ブルジョアですね」

美喜「ブルジョアね」

悠「……俺のツケ全額、タカシに回しといてくれ。」

美喜「別に良いけど、アンタそれマジにいってるの。」

悠「マジだ。俺がいくら奴にツケを回したくらいでアイツの財布の厚みを一センチも減らせやしないだろ。」

澪「はは…生々しいな。」
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