ー談話ーラスタ・ラヴへようこそ【Ⅱ】~6

ーラスタ・ラヴ(2/9/夜)ー

悠「誘惑に負けた」

千夜「チッ」

悠「なんで舌うち…。」

千夜「どーせまた女の話しだろ」

悠「ちーがーいーまーすぅ」

千夜「ウゼェ…。」

白巳「ますぅ」

千夜「……」

悠「白巳は無視かい」

紅「それで誘惑に負けて誰とヤッちゃったんだ?」

悠「やってねーっての。「さくら水産」ってあるだろ」

紅「なにそれ」

千夜「海産物居酒屋か」

悠「そう。「村さ来」のフランチャイズを展開していた会社が95年に興した海鮮系メインの居酒屋で関東、関西のオフィス街を中心に出店して魚肉ソーセージ50円みたいな激安メニューでぶいぶい言わせてるんだが、この居酒屋には実はもう一つ昼の顔があってな、男性サラリーマンに絶大な人気を誇るランチをやってるんだ。」

紅「へぇ」

悠「目玉は500円の日替わり定食AとB。Aはたいてい「サバ塩焼き」とか「ぶり照り焼き」とかの魚系Bは「フライの盛り合わせ」とか「特製チキンカツ」とかの肉系。さらにABどっちの気分でもないとき用に定番で「さば味噌定食」550円。「中おち定食」600円。「刺しみ定食」650円」の黄金トリオ辺りが控えてる。」

千夜「全般に安いな」

悠「ただしチケット自販機制だから注文をじっくり考える余裕はないぞ。後ろのリーマンに迷惑をかけないようにメニューパネルから数歩の間にアスリートみたいな瞬発力で即決する必要がある」

紅「なんで平日の昼間にそーいう店で飯食ってるんだ?」

千夜「サボってるからだろ」

悠「まぁ、そこは置いといておれを誘惑するのは、恐るべき「システム」だ」

紅「システム?」

悠「なんと「ごはん」「お味噌汁」がおかわり自由でさらに「生卵」「板のり」「お新香」「ふりかけ」が取り放題!」

紅「……」

千夜「……」

白巳「ふぁぁ……」

悠「たいへんなことだぞ」

美喜「私お店で食べるときご飯「小盛り」で注文するわよ」

紅「俺も昼からおかわりはしないなぁ」

千夜「同じく」

悠「おれだって基本的におかわりの人じゃない。でもさくら水産のランチだと最初はおかずとごはんの往復で定食風に食べ始めたはずなのに途中からだんだんおかずの味がしなくなって……気がつくといつも卵かけご飯と味付けのりのループにハマってる。ふりかけとお新香まで器用に使いこなして猿みたいに延々食べ続けてるんだ。ふと気がついたらおかず半分残ってるのにおかわり3~4回なんてざらだぞ」

美喜「やだ、ご飯五杯も」

悠「周りを見ても多くのサラリーマンが同じようにハマってて店内はちょっとしたユートピア状態だ」

千夜「だからお前がなんで混ざってんだよって話しだよ」

悠「まぁ、それはいいじゃん」

紅「なんか腹減ったな。そこ夜は居酒屋なんだろ。今からいかね?」

悠「ダメだ」

紅「なんで?」

悠「……白巳が寝てる」

白巳「しゅぴぴ~」

悠「風邪ひかす前に帰る。さらばだ」
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