ー談話ーラスタ・ラヴへようこそ【Ⅱ】~5

ー立派な山小屋(1/12/夜)ー

燕「あれ、お兄さん。梔先生とお知り合いですか?」

悠「梔姉さんはおれの従姉だが……?」

燕「あ、そういえば小鳥遊って同じ苗字です!」

クロノ「じゃあ、俺はそろそろ失礼するけど、燕、君はどうする?」

燕「えと、あたしは梔先生に挨拶していくから良いです。自分で帰ります」

クロノ「そうか。じゃあ、また何かあったら連絡してくれ。」

悠「どやって帰るんだ?」

クロノ「転移魔法がある」

悠「そっか。縁があったらまたな」

クロノ「ああ、さよなら。」

悠「さて……次はそっちの話し聞かせて貰おうか」

紫「巻きで行く?それとものんびり話す?」

悠「巻きで」

紫「私がいる世界とこっちの世界は繋がっていて、私はその繋がりがある部分に結界を張って管理しているの。本来はこっちの物があっちに行ったり、あっちの物がこっちに来たりしないようにしてるんだけど、もともとこの山は霊験があって色々と結界にも不安定な部分があったのよね。その不安定な中にあの魔具の影響か結界がゆるんじゃって、ここらの付近一帯に高濃度の霊域が出来ちゃったのよ」

悠「勘弁してくれ」

紫「大丈夫よ。もうちゃんと直しておいたから。」

揺光【迷惑な奴じゃ】

紫「そういうなら揺光も手伝ってよ。こっちに居るんだから」

揺光【そういう面倒なことをしたくないから妾はこっちで自由にやっとるんじゃ。ほれ、用が済んだならはよいね】

紫「冷たいわね……そうだ、悠」

悠「あー?」

紫「妖怪でも分け隔てなく接するのはいいけど、気を付けとかないとどんな目にあっても仕方ないわよ?私ら(妖怪)側と彼方(人間)側は紙一重でも大きく違う。身近であって身近で無く、敵であって敵で無い、例えるなら奇妙な隣人」

悠「うーん、言いたい事はわかるようで何をいってるかわからん。でも……おれは別に意思疎通ができる生きものなら多分大丈夫だと思う。」

紫「牙を向けられても?」

悠「んー……」

揺光【化け物を倒すのはいつだって人間じゃ。化け物は人間に倒される。人間だけが「倒す」事を目的とするからの。こいつの悠の強みは戦の喜びの為で無く。己の成すべき義務で動く。惑わしても無駄じゃぞ】

紫「あらあら、揺光がここまでご執心とはね。じゃあ、矛先を変えて……そこのアナタ」

恋「な、なんじゃ」

紫「人に忘れ去られて消えるならこっちにいらっしゃいな。」

恋「なっ……恋は……」

悠「悪いがこの人形はもうおれの所有物なんだ。勝手に回収してもらったら困るな」

恋「なっ?!」

紫「あら、そうなの」

悠「ああ、恋、本人がかくれんぼで負けたら何でも言うこと聞くといったからな。この人形を貰う事にした」

紫「そう……人形も思われてる内は現役。せいぜい可愛がってあげなさい」

恋「ななっ!!///」

紫「それじゃあ。私も帰るわ。また会う事があれば会いましょう」
すっ……ズズズ!

悠「あー……長かったなぁ。おれらも帰ろうか……えーと、真田もいっしょに来るだろとりあえず。」

燕「あ、はい!」

悠「それに恋、お前はもな」

恋「本体を奪われとるから仕方なしについてってやる」

揺光【では、まずは下山じゃな】
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