ｰ京都:小鳥遊邸西本家(7/15/昼)ｰ

梔「柏。みな揃いましたえ？」

柏「揃ったんじゃねぇのか。」

梔「アンタは…少しはシャキッとなさい」

柏「うっせぇな…。こっちは挨拶周りとか準備で完徹なんだぞ…。だいたい今回に限ってなんで一同集会なんだ。いつもみたいに代表だけで済ましゃあいいもんを……」

梔「はいはい。ぐちぐちいわんの。」

柏「ふん…。」

梔「あ、ところで悠ちゃん知りまへん？」

柏「ごみ箱の中にでもいるんじゃねぇの」

梔「柏…」

柏「姉貴、集まりの手前だ。俺からは手を出さねぇし何もいわねぇ……奴の存在を相手にしない。だから、俺とアイツを不必要に近づけんなよ。いいな。光臣いくぞ」

光臣「はい。」

梔「はぁ……困った子やねぇ。」

楓子「あ、師範代。御料理の準備は大丈夫そうですやよ。会議が終わったあとすぐに用意できるそうですやよ。」

梔「ご苦労様。お手伝いさせてかんにんなぁ。」

楓子「いえ、この雪之丞楓子。小鳥遊両本家と師匠のためでしたら粉骨砕身で働かせていただきますやよ。」

梔「あ、せや！楓子ちゃん、悠ちゃん知らへんどすか？」

楓子「師匠でしたら、お着替え中だと思いますやよ。」






悠「はぁ…羽織袴かスーツ…嫌だなぁ。」

近藤「あまり時間はありませんよ。どちらにされますか？」

悠「おれの用意したスーツ」

近藤「いけません。まったく…どこであんな特殊な職種の方々が着るような物を用意したのですか。」

悠「(拳二に集金付き合わさせられた時に貰ったとはいえないな)」

近藤「こちらのスーツでよろしいですね」

悠「もう好きにしてください。」

近藤「わかりました。では、着替えてください。」

～少年着替え中～

悠「……」

近藤「よくお似合いでございます。お髪は固めますか？」

悠「オールバックにキッチキチに固めてくれ。」

近藤「後ろを結わえておきますね」

悠「無視かい」

近藤「さ、出来ましたよ。どうぞ鏡でご確認を」

悠「……キモいな。」

近藤「素敵です」

悠「アホ面を晒して馬子にも衣装だし。」

近藤「やはり顔立ちは兜馬…社長に似ておりますが紅葉様に似て幼く見えますね。お髪も…ｸﾞｽｯ…」

悠「ちょ、近藤さん泣いてないよな？」

近藤「失礼…。この姿を紅葉様にお見せししたかったです。ｸﾞｽｯ…ｸﾞｽｯ。」

悠「結婚式前の父親じゃないんだから…」

梔「うちも立派やとおもいますえ」

悠「あ、梔姉さん。」

近藤「おっと………すっ…はぁ。失礼しました。」


梔「ええんよ。寿さんは悠ちゃんを支えてくれたもう一人のお父様やし、ウルウルくるんも当然どす。」

近藤「私が父親なんて…」

悠「えと、時間すか？」

梔「えぇ、皆あつまりましたえ。さ、いきまひょか。」

悠「気乗りはしないっすけど…まぁ親父の代理として。騒ぎは起こさないようにしてますから。」

梔「悠ちゃん…。」
ｷﾞｭｯ

悠「く、梔姉さん？」

梔「悠ちゃんはもっと堂々としててええんどすよ？」

悠「……そう言うわけにもいかないっすよ。けど、梔姉さんにこう言われるだけでおれは救われます。さ、いきましょう。」