ー談話ーラスタ・ラヴへようこそ【Ⅱ】~3

ー京都:小鳥遊西本家(7/13/夜)ー

向日葵「失礼いたしますわ。」

楓子「師範代、いらっしゃいますかやよ」

梔「あ、楓子ちゃん。遠路はるばる御足労やったね。向日葵ちゃんもご苦労様。」

楓子「いえ、大丈夫ですやよ。それより……何かありましたやよ?」

梔「えぇ、それがねぇ…。変な話なんどすけど。笑わんと聞いてほしいんよ」

楓子「何ですかやよ?」

梔「つい最近ね。珱(よう)さんの夢をみてねぇ…。」

向日葵「珱さん?」

楓子「珱さんの…夢ですかやよ」

向日葵「あの、お姉さま……いったい誰ですか?」

楓子「私も詳しくは知らないやよ。小鳥遊珱さんは小鳥遊弥一さんの母親やよ」

向日葵「居たんですか!?」

梔「はい。大おばあ様どす。」

向日葵「はぁ…両親居たんですね」

楓子「向日葵、驚いてるけど普通のことやよ。弥一さんも人間やよ」

向日葵「ちなみにおいくつになりますの?」

楓子「亡くなられてるやよ」

梔「最後に記録が残っとるんは……19××年どす。もちろん正確やないどすけど」

向日葵「はぁ…。そこはわかりましたけど。いったい全体、私とお姉さまを呼んだ理由はなんですか?」

梔「えぇ…。夢に見たもんで、少し珱おばあ様の品を整理してたら色々出てきてねぇ。焼却する物、保管する物に分けたから手伝いが欲しかったんどす」

向日葵「は?焼却ですか?」

梔「はい。焼却どす。」

向日葵「遺品なのに?」

梔「珱おばあ様の記録は残しとるのは危険なんどす。」

向日葵「ちょっと待ってください。いったいどういう人なんですの?」

楓子「小鳥遊家最強の女性やよ。」

梔「史上最強いうのやったら、やっぱり弥一さんになるんどすけど、女性というんやったら珱おばあ様どす」

向日葵「弥一御老公のお話は、あらゆる場所で幾度となく耳にしておりますが……珱様のお名前は今まで聞いたことも御座いませんわ」

梔「弥一さんの話題性が強い分もあるんでね。多分、珱おばあ様のことも本家でもこっち(西本家)でも正確な話しは知らんのとちゃうかえ。」

向日葵「梔師範代はご存じなんですの?」

梔「少しだけどす。多分、悠ちゃんなら…」

向日葵「……」

楓子「向日葵、師匠の名前が出るたびに顔をしかめるのは止めるやよ」

向日葵「だって…」

梔「あらあら、向日葵ちゃんは悠ちゃんと仲よろしゅうないんどす?」

向日葵「あの方は好きになれませんわ。不躾で破廉恥で品位がありませんわ!」

楓子「向日葵!口を慎むやよ!」

梔「まぁまぁ、悠ちゃんは誤解されやすい質やからね。」

向日葵「誤解とかでは無くて!」

楓子「向日葵!」

梔「あらあら…」
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