ー談話ーラスタ・ラヴへようこそ【Ⅱ】~3

ー小鳥遊邸:悠の部屋(7/8/夜)ー

悠「(うーむ……痛い。どうしたもんかな。)」

コンコン…
駒狸「失礼します。悠さん。」

悠「ん?どった?」

駒狸「おばあちゃんが来ましたよ。」

悠「あー?仙ばぁ?」

水仙「誰がババァだ。」

悠「ババァとはいってないだろ…。どしたの?」

水仙「道玄から聞いたよ。翠龍と鬼状態を同時につかったそうだねぇ。はぁ…バカな子だよ。」

悠「いゃあはは。そんな誉めないでくれ」

水仙「柳ジジイ呼んで脳の中を検査してもらうかい?」

悠「勘弁してください…。」

水仙「はぁ、いいさね。ほれ、服を脱ぎな。」

悠「いやぁ、さすがに水仙バアちゃんとは寝れないわ。」

水仙「ふん」

サクッ
悠「痛っ……てえぇ!?刺さった!刺さった!!額に針刺さった!!!」

水仙「やかましいよ」

駒狸「お、おばあちゃん…。」

水仙「次にくだらないこといったら目玉にいくよ」

悠「な、なにするんだよ…」

水仙「鍼を刺す。活性孔を突いてそこから狸掌を使えば少しは痛みも楽になるさね。わかったら、ほら、とっとと脱ぎな。まずは背中からさね。」

悠「へいへい…」

水仙「ふんっ」

ベチン!
悠「痛い!!それは物理的に痛い!!」

駒狸「おばあちゃん…悠さん、怪我してるから…」

水仙「はん、このくらい平気さね」

悠「いや、平気や無い…めっさ背中ヒリヒリしとる…」

水仙「うん。良い身体だ。しかし、疲労が酷いね…さて…鍼を打つよ。」

悠「さっきまでの一件は謝るからマジで優しく刺してくれ。マジで。」

水仙「うるさいねぇ。じっとしてないとズレちまうよ」

悠「お口チャックノリス」

駒狸「……」

水仙「雷果。」

駒狸「は、はい?」

水仙「アンタもボケッとしてないで手伝いな。私が鍼を打つ、アンタが狸掌で気血を良くしないいね?」

駒狸「は、はい…。」

水仙「どうだい?」

トスットスットスッ
悠「……痛くないな。」

雷果「鍼はもともと皮膚に接触させるか、ごく浅く刺しますから痛みはほとんどないんですよ。いま、使用してるのは髪鍼(もうしん)といって0.14~0.15mくらいなんです。長さは色々ありますけど。症状や目的に合わせて種類を使い分けます。」

悠「ほう…。あ、きもちいい…。」

駒狸「鍼は気血の流れを良くして、自然治癒力や自己免疫力を高めます。」

水仙「ちゃんと勉強してるようさね。」

悠「そういやぁ。なんで効果があるんだ?」

駒狸「えと、トゲが刺さったとき周りの皮膚が赤くなりますよね。あれは周囲の血管が開いて血液がそこに送り込まれるからなんです。これは身体に侵入した異物に対処するための生理反応なんですけど、鍼を刺したときにも起こるんです。」

悠「あぁ…つまりは「鍼を刺した周囲の血管は開く」生理反応と「血液は圧の高い方から低い方へ流れる」原理を組み合わせて「血液の流れを行きすぎてるところから、足りないところへ誘導する」訳だな。」

水仙「そうさね。あとは脳内モルヒネ様沈痛物質が分泌されて痛みが和らぐ。鍼灸の刺激が痛みの刺激をブロックする。血液やリンパの流れが良くなり、筋肉の緊張が和らぐ。ホルモンや自律神経のバランスが整えられる。白血球等が増加し、免疫力が高まり生体防御機構が強化。消化器、泌尿器、呼吸器などに働きかけてバランスが整えられる。さぁ、どんどん刺すよ」
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