ー談話ーラスタ・ラヴへようこそ【Ⅱ】~3

ー小鳥遊コンチェル:社長室(7/4/昼)ー

近藤「お疲れさまです。」

兜馬「あぁ、変わりはないか?」

近藤「なにも問題はありません。ただ、車庫で眠っていた幾つかの車を譲りましたね」

兜馬「構いはしない。どうせ、埃を被るだけだ。だが、だれにだ?」

近藤「柏さまに」

兜馬「柏君か……。できるなら、私の下で働いてもらいたいものだ。」

近藤「柏さまは引っ張り凧な方ですから。」

兜馬「だろうな。彼は荒いが正しい荒さだ。彼のような人間が世界を変えるべきなのかもしれんな」

近藤「……そうですね。」

兜馬「なにか言いたそうだな。」

近藤「いえ。」

兜馬「寿、ここに居るのは私とお前だけだ。」

近藤「……それはどういった意味で…」

兜馬「寿」

近藤「はは、わかったよ。兜馬。」

兜馬「ふぅ…。お前と話すと疲れる」

近藤「兜馬が帰国している時の社員よりマシだと思うぞ」

兜馬「それはどういう意味だ。」

近藤「皆が、緊張すると言いたいんだよ」

兜馬「う…む。」

近藤「はは。珈琲でも淹れよう。インスタントだけどな」

兜馬「構わん。談話の場で何を飲むかと誰と飲むかは違う。」

近藤「親子揃ってすぐに迂闊な発言をする…」

兜馬「なにかいったか?」

近藤「なんでもないさ。」

兜馬「しかし、アレはどうだ?」

近藤「アレ?」

兜馬「その…なんだ、アレの様子だ」

近藤「あぁ、柳医師ですか。あの方は変わらず奇妙ですよ。わざわざ、ここの研究所を抜けて大学病院のいって現場に出て現役復帰してるんですから。」

兜馬「先生は生涯現役を掲げているからな。私より長生きするといっていたしな。」

近藤「何百歳生きる気なんだ…」

兜馬「先生なら二百はかたいだろうな」

近藤「あり得ない…とは言いがたいか。」

兜馬「だろう。私も先生にはいつも驚かされる。……では、無くてだ。」

近藤「おや、他に聞きたいことが?」

兜馬「……」

近藤「お前は誠実を掲げる割りに自分の子供のことを素直に聞くことができないな」

兜馬「私は……」

近藤「はは。冗談だ。坊っちゃんは元気だよ。兜馬が出てるあいだにいろんな噂を聞いたよ。薬の売人を捕まえたり、フェニックスを潰したり、オカマを捕まえたり」

兜馬「悠はいったい何をしている…。」

近藤「なにかをしているのですよ。そうそう最近では新宿で茶店をやったり、不定期ではありますが雑誌でコラムを書いてもいますよ。」

兜馬「茶店に…コラム?」

近藤「読むのであれば一応取り置きしてありますよ」

兜馬「……持ってきてくれ。」

近藤「わかった。じゃあ、その間に珈琲のおかわりでも用意していてくれ。」
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