ー談話ーラスタ・ラブへようこそ~【Ⅰ】2

ーラスタ・ラヴー

澪「おっと……これは、いらっしゃいませ。崇さん。」

美喜「いらっしゃい。久しぶりね。」

崇「あぁ…。」

澪「今日はお一人ですか?」

崇「まぁな。…少し疲れた。甘いの頼む。」

澪「では、バナナブリスです」

バナナブリス
26度甘口ビルド

バナナリキュール30ml
ブランデー30ml

氷を入れたグラスに材料を注ぎ、軽くステアする。

美喜「バナナリキュールの濃厚な甘い香りと、ブランデーの芳醇さがマッチしたシンプルカクテルよ。ブリスは「幸福」または「天国の喜び」って意味よ。」

崇「そうか。」

美喜「反応薄いわね」

崇「ふっ」

澪「それより、崇さんが疲れたって何かありました?」

崇「いや…ただ駅を3、4つ歩いてきたからな。」

美喜「崇の散歩って範囲がけた違いよね毎回。」

崇「そうでもない。面倒な時は歩かないしな。」

澪「本郷さんがガンガン車回しますからね…。行き場所問わずに。」

崇「ふふ。奴の運転好きは本物だ。」

美喜「いや…崇が乗るからだと思うわよ。」

崇「そんな事より……あれは?」

澪「悠です」

美喜「悠よ」

崇「……それは見たらわかる。なんでアイツはここで寝袋の中で寝てる?」

澪「俺らにもよく解らないですけど。なんか、ここで寝たらいい夢が見れるから寝かせろと…」

美喜「かれこれ三時間はあのままよ。」

崇「……」

澪「何度か起こそうとはしたんですけど、これが全く起きなくて。」

美喜「まぁ…イビキや歯軋りが酷いなら水でもかけようかと思ったけど、ただ寝てるだけだし、とりあえず放置してる所存よ。」

崇「……前からだが、意味が解らない奴の筆頭だな。コイツは…。」

澪「そうですね。要領が良いのや、悪いのやら…。バカなのか、バカじゃないのか…」

崇「所で…コイツはなんの夢が見たいんだ?」

澪「さぁ…内容とかは、いっさい言ってないですね。」

崇「そうか…。」

澪「夢に興味があるんですか?」

崇「いや…夢云々はどうでもいいが、ただ悠が望む物には興味があるな。……お前らはなんだと思う?」

澪「へ?えー…悠だし女じゃないですか?」

崇「女か…無くはないな。コイツはなぜか妙に癖のある女ばかり選ぶからな」

美喜「本人がくせ者だからじゃない?」

澪「あぁ、納得。」


崇「だが、結果は置いて、ハズレは無い所を見れば…なかなか目利きはあるんだろう。」

澪「そうなんですか」

崇「確信が有るわけじゃないが…まず、女全般に弱い。次に年上が、そして…癖があるのが好みみたいだな。」

澪「なんかよく知ってますね…っーか、崇さんが色恋の話するのが新鮮です」

崇「俺自身にはそーいった事に興味は無い…が、コイツ(悠)のには興味がある。」

澪「あぁ…なるほど。」

美喜「あれ…じゃあ私もタイプ?」

崇「さぁな。今のは俺の見立てだ。まぁ…お前は大丈夫だろ。」

美喜「なんでよ?」

崇「なんとなくだ。そもそも、美喜は悠をどうとも思ってないだろ。」

美喜「当たり前よ。あんな変態。」

澪「っか…ホント起きないな」

悠「すぅ…すぅ…」
9/100ページ
スキ