ー談話ーラスタ・ラヴへようこそ【Ⅱ】~2

ー三日月(5/30/夜)ー

悠「カエル、日本酒ゆる燗と枝豆、空豆、エンドウ豆とそぼろの玉子炒め、おぼろ豆腐と揚げだし豆腐頼む」

恵瑠「はーい」

拳二「どれだけ豆喰うんだよ」

悠「夏は豆と麺で生きるのがおれのスタイルだ。」

拳二「お前ってときどきやっすいよな。」

悠「庶民で底辺なおれが高いもんに手をだしますかいな。」

拳二「まぁ、いいけどよ。ふぃ~……ところでお前、摩天楼って知ってるか?」

悠「フィールド魔法の摩天楼スカイクレイパーなら知ってるぞ。」

拳二「お、なんだ知らないのか?」

悠「…なんで嬉しそうなんだよ」

拳二「いやぁ、お前っていつも情報知ってる側だろ。ひとに調べ事させてもなんでか先に知ってるしよ」

悠「たまたまだろ。それでなんだ?」

拳二「ふふふん。なるほど、これが自分だけが知ってるって優越感か。なかなかいいな。お前はいつもこういう感覚を味わっ…」

悠「話す気がないなら聞かないくてもいいんだけど」

拳二「結城クリストファー凍夜って名は知ってるか?」

悠「あー?誰だよハーフか?」

拳二「結城クリストファー凍夜、年齢不詳。池袋の三番街で摩天楼って店で金貸しでな。池袋の駆け込み寺っていわれてる」

悠「池袋の駆け込み寺?」

拳二「あぁ。他の店で融資を断られた奴にまで金を貸し付けてる。」

悠「へぇ…ヤミ金ってことか?」

拳二「まぁ本人はヤミ金じゃあねえっていってるがやってることは同じようなもんだ。ただまぁ、ちがうとこがあるとしたら、他の金貸しと比べて融資の条件が変わってるってとこだな」

悠「条件?審査が特殊なのか?」

拳二「ああ。摩天楼って店じゃ客に金を貸すかどうか判断するために…融資前に必ず何かしらの条件を客に提示する。その条件ってのがボランティアだの老人介護だの…とにかく一風変わったもんなんだ」

悠「そんなことして何のメリットがあるんだ?」

拳二「ふふふ。さあな」

悠「なんだよ」

拳二「それに一部のウワサじゃ金利すらとってねぇって話もあるぐらいだ」

悠「あー?じゃあどうやって飯食うんだよ。その…結城ってやつは」

拳二「まぁ、それは都市伝説みてぇな話だろう。じっさいはちゃんと儲かる仕組みがあるんだろうな。一応金貸した客が飛ばないよう、ちょくちょく見回りしてるみてぇだしな。」

悠「謎だらけの金貸しだな」

拳二「かっかっか。たしかにヤツの考えてることはよく分からん。ただ一度凍夜から金を借りた人間は二度とヤツから金を借りることはねぇそうだ」

悠「なんで?」

拳二「それも分からん」

悠「分からん、分からんって、謎だらけだな」

拳二「かっかっか。一応お前の耳にもいれておいてやろうと思ってな。もしかしたらなにかの縁があるかもしれのぇしな。」

悠「なんでやねん」
74/100ページ
スキ