ｰ男爵(5/4/昼)ｰ

悠「ほーい、珈琲おまとっさん。」

ともき「ありがと」

轟「…珈琲お待たせしましただろう」

悠「こまけぇこたぁ気にすんなよ」

轟「ゲンコツくらいたいのか？」

悠「轟さん、暴力はよくないな」

轟「忙しいんだから余計な手間をかけさせるなよ」

悠「へいへい。まったく、人使いの荒いじいちゃんだ」

轟「安心しろ。お前のじいさんより数千倍はマシだ。」

悠「そりゃそうだ。」

楓子「ですが、弥一さまは立派なかただったと聞いてますやよ」

悠「そんな戯れ言、どこのアホががほざいてた。」

楓子「梔師範代ですやよ」

悠「なるほど、やはり梔姉さんは懐が広いだけあってあんなジジイのことも……」

ともき「今さっきアホっていったよな」

楓子「いいましたねやよ」

悠「梔姉さんがアホなわけないだろ！」

轟「バカやってないで働け」

悠「ふぁ～い」

楓子「師匠の労働する姿はなかなかいいものですやよ」

轟「そうだな。黙って仕事してればいいんだが。」

悠「全部聞こえてるんだけど？」

轟「聞こえるようにいってるんだ」

悠「あー、際ですか…。じゃ珈琲3つとフレンチトースト注文だ」

轟「わかった。」

「すいませーん」

悠「はいはい、少々お待ちくださいな」

ともき「ああしてると普通なのになぁ」

轟「もともと人当たりはいいし、それなりに動ける子だからな……性格がああじゃなかったら良かったんだが」

楓子「いやいや、師匠はあれだから素敵なんですやよ」

轟「雪之丞のお嬢さんは確か兜馬のSPだったな」

楓子「はいやよ。ただ、今は暇をいただいて師匠のSPをしてますやよ」

轟「悠にSPなんか必要かい？」

楓子「……」

ともき「悠に必要なのはGPSじゃないかな」

轟「埋め込んどいたらいいかもしれないな。何処にいるかすぐにわかるだろうし。」

楓子「うーむ…確かにですやよ」

ともき「迷子になる犬みたいだな」

悠「猫といえ、猫と」

ともき「そこだけかよ…」

悠「っか、GPSなんか埋め込まれてたまるかよ。おれが普段どんな店に顔を出してるかバレるじゃないか」

轟「バレちゃ困るような店に出入りしてるのか」

悠「プライベートなので…」

楓子「師匠はミステリアスですやよ。」

ともき「いや、違うだろ」

轟「それより悠、お前最近自分の店をもったそうじゃないか。」

悠「あー……まぁ、仮だけどな」

轟「今度案内しろ。味見しにいく。」

悠「えー…めんど…」

ともき「新宿のですね…ここなんですけど…わかりますか？」

轟「あぁ、大丈夫だ。わかる。」

悠「なにサラッと教えてるんだよ！？」

ともき「秘密にするこでもないだろ。」

楓子「なんでしたら私がご案内しますやよ」