ー談話ーラスタ・ラヴへようこそ【Ⅱ】~

ーラスタ・ラヴ(2/29/夜)ー

崇「……ペアリング?」

氷室「ペアリングですか?」

ミハイル「あぁ、ペアリングだ」

崇「そんな物を俺に売り付けてどうする?」

氷室「私もペアリングを贈る異性は居ませんが?」

ミハイル「ただのペアリングじゃない。リングも装飾もすべてが純銀で作られたものだ。それなりに稀少品やアンティークを集めているお前らなら気に入るかと思って話を持ちかけただけだ。」

崇「俺にとっての稀少品は使わない物じゃない。使える物だ。そのペアリングは必要ない。」

氷室「私もアンティークは確かに好きですが値が張るものは買えませんよ。」

ミハイル「残念だ。まぁいい、なら別のやつに売り飛ばすだけだ…」

崇「待て。」

ミハイル「なんだ」

崇「最近新宿の辺りで妙な物が出回っているそうだ。強力な催眠ガススプレーらしいんだが……」

氷室「なんでも、無臭で揮発性が高い代物らしいですよ。」

ミハイル「……」

崇「心当たりは?」

ミハイル「無いなぁ。うん、僕には一切心当たりがないぞ。まったく全然にだ。」

崇「そうか。もういいぞ」

ミハイル「……」

氷室「あそこまで全力に否定してると逆に怪しいですね。」

崇「かあのガキは存在が怪しい。」

氷室「あはは。ところで何か引っ掛かることがあったのですか?」

崇「なにがだ。」

氷室「いえ、催眠スプレーの事を聞いていたので、なにかあの子に関わりがあるのかと。」

崇「少し前、ラジオで奴がそんな話題で話していたのを思い出してな。一応聞いてみただけだ。」

氷室「相変わらず素晴らしい記憶力ですね。」

崇「ふん。」

悠「ちぇき。」

氷室「おや、悠さん。」

悠「あれ……氷室さんと崇だけか?」

崇「なんだ?」

悠「……いや、ついさっきそこで守銭奴がいてな。ペアリングを売り付けられかけたんだけど、ここから出てきたのかと思ったけど…………接点が有りそうなのが居ないし気のせいだったかな。」

氷室「おや、ペアリングですか」

悠「あぁ、しかも純銀の」

崇「ほぅ、純銀のペアリングか。っで、買ったのか?」

悠「まさか、おれが買えるのはせいぜいイカリングくらいだよ。」

氷室「私はオニオンリングが好きですね。」

悠「崇はポンデリング?」

崇「あぁ、あれはなかなか美味いな」

悠「食ったことあんの!?」

崇「禅にもらったことがある。オールドブラウンとかいうのの方が美味かったな。」

悠「ただドーナツってなんかチョコ系が多いから微妙なんだよな。」

氷室「なんだかお腹空いてきましたね。」

崇「寿司でも食いにいくか」

悠「おれ、お好み焼き食いたい」

氷室「では、間をとってイタリアンにしましょう。」

悠「どこが!?」
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