ー特別編ー黄色のCurrency
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
おれたちはフロアを抜けて、キッチンへ通じる通路を足音を殺して進んだ。
右手には二枚の扉が並んでいる。一枚目には従業員専用とパネルが張られていた。
「ここじゃなさそうだな。」
俺がつぶやくと崇を先頭に奥の扉を目指して移動した。
俺はそこであの音をきいた。デジタルデザイン部に流れていた白い機械のうなり。
ドアの前に全員がしゃがみこみ、俺はちいさな声でいった。
「ここで間違いないようだ。」
「俺が踏み込みますか?」
崇をみて、紅は背中からバットを抜いてグリップを握りしめる。
「いや、最初に俺と崇がはいる。みんなは待機してくれ。」
俺は紅のバットを下にさげた。こう見えても平和主義だ。
それにこんなところで紅が汚れる必要なんかない。
「ヤバくなったら。迎えに来てくれよ俺はこわがりなんだからな。」
崇を除く三人が声を殺して笑った。
キングは立ち上がり、ベージュのスエードの革パンのほこりを払った。
「どの口がほざいてるかは知らないが、一気に制圧するんじゃなく、話し合いをするのか」
もう声をひそめてもいない。
俺はしかたなくうなずいて、カフェの事務所の扉を押した。
こちらには鍵はかかっていなかった。かかっていたところで、まったく無駄だっただろうが。
「仕事中に悪いな。」
俺はそういって、室内を見渡した。
細長い八畳ほどの部屋だった。奥の窓際に机がふたつ並んでいる。
その事務椅子にホリイと北原が座っていた。おれたちを見上げたふたりの目はいっぱいに開かれたままだ。
だが、その部屋の主役は偽札犯でも、街の王様でも素敵なトラブルシューターでもなく、中央にすえられた最新型のレーザープリンターだった。
俺たちが踏み込んだ今でも、静かに唸りながら、カラフルなep札を吐き出している。
NPOセンターで見たものと同じ機種のようだ。俺はいった。
「やっぱり…アンタ達だったんだな。これで造幣局も終わりだな。」
ホリイはまた酷く汗をかいているようだった。半袖のシャツが絞れそうなほど汗染みに黒ずんでいる。
北原はさすがに中年で、素早く立ち直った。顔に不敵な笑いがもどっている。
「なにが終わったんだ?」
「アンタ達の偽札づくりさ」
「本当にそうかな?」
崇が愉快そうにいった。
「どういう意味だ」
北原は余裕を見せて足を組んだ。手を頭のうしろで組んで天井を見上げる。
「だから、小此木代表がぼくたちをどうするかなといってるんだ。」
この男は何かを握ってるようだった。余程の切り札に違いない。現場を押さえられても、へこまないのだ。
俺たちが黙るとやつはいう。
「もし、あんたたちがぼくを警察につき出すか、ここで暴力を振るうというなら、ぼくはすべて警察に話す。小此木の立派なNPOが陰でどんなことをやっているか。これはあのセンターでもごく少数の人間しかしらないホットニュースだ。」
勇敢な探偵が犯人に脅される。雲行きが怪しくなってきた。
右手には二枚の扉が並んでいる。一枚目には従業員専用とパネルが張られていた。
「ここじゃなさそうだな。」
俺がつぶやくと崇を先頭に奥の扉を目指して移動した。
俺はそこであの音をきいた。デジタルデザイン部に流れていた白い機械のうなり。
ドアの前に全員がしゃがみこみ、俺はちいさな声でいった。
「ここで間違いないようだ。」
「俺が踏み込みますか?」
崇をみて、紅は背中からバットを抜いてグリップを握りしめる。
「いや、最初に俺と崇がはいる。みんなは待機してくれ。」
俺は紅のバットを下にさげた。こう見えても平和主義だ。
それにこんなところで紅が汚れる必要なんかない。
「ヤバくなったら。迎えに来てくれよ俺はこわがりなんだからな。」
崇を除く三人が声を殺して笑った。
キングは立ち上がり、ベージュのスエードの革パンのほこりを払った。
「どの口がほざいてるかは知らないが、一気に制圧するんじゃなく、話し合いをするのか」
もう声をひそめてもいない。
俺はしかたなくうなずいて、カフェの事務所の扉を押した。
こちらには鍵はかかっていなかった。かかっていたところで、まったく無駄だっただろうが。
「仕事中に悪いな。」
俺はそういって、室内を見渡した。
細長い八畳ほどの部屋だった。奥の窓際に机がふたつ並んでいる。
その事務椅子にホリイと北原が座っていた。おれたちを見上げたふたりの目はいっぱいに開かれたままだ。
だが、その部屋の主役は偽札犯でも、街の王様でも素敵なトラブルシューターでもなく、中央にすえられた最新型のレーザープリンターだった。
俺たちが踏み込んだ今でも、静かに唸りながら、カラフルなep札を吐き出している。
NPOセンターで見たものと同じ機種のようだ。俺はいった。
「やっぱり…アンタ達だったんだな。これで造幣局も終わりだな。」
ホリイはまた酷く汗をかいているようだった。半袖のシャツが絞れそうなほど汗染みに黒ずんでいる。
北原はさすがに中年で、素早く立ち直った。顔に不敵な笑いがもどっている。
「なにが終わったんだ?」
「アンタ達の偽札づくりさ」
「本当にそうかな?」
崇が愉快そうにいった。
「どういう意味だ」
北原は余裕を見せて足を組んだ。手を頭のうしろで組んで天井を見上げる。
「だから、小此木代表がぼくたちをどうするかなといってるんだ。」
この男は何かを握ってるようだった。余程の切り札に違いない。現場を押さえられても、へこまないのだ。
俺たちが黙るとやつはいう。
「もし、あんたたちがぼくを警察につき出すか、ここで暴力を振るうというなら、ぼくはすべて警察に話す。小此木の立派なNPOが陰でどんなことをやっているか。これはあのセンターでもごく少数の人間しかしらないホットニュースだ。」
勇敢な探偵が犯人に脅される。雲行きが怪しくなってきた。