ー特別篇ータピオカミルクティードリーム
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「ちょっと話がある。顔を貸してくれ。」
おっさんはエプロンで手を拭きながら、大通りにやってきた。おれの隣に座るように言う。
「すまないが、さっきの「陽来軒」の画像、おれのスマートフォンに送ってくれないか。音声ファイルもいっしょに。」
おっさんは怪訝な顔をした。
「拳二さんに止められたのに、悠さんはどうするつもりなんですか?」
年下にも丁寧語を絶やさないオヤジ。
「拳二はああいってたが、おれとしてはこの街で堂々とクスリが売られるのは、たまらないんだ。そういうのは、おれやS・ウルフの方が拳二より慣れてるから、こっちに任せてもらえないか。悪いようにはしないし、あの店もキレイに潰してやるよ。」
そうはいったが、おれの最大の関心は浩一にあった。銀司のような輩は池袋だけでなく東京中にいる。ショウジョウバエのようなもので、いくら叩いても湧いてくるのだ。まあ、ショウジョウバエには失礼かもしれないが、奴らは二カ月ばかりの生涯で数百から数千の卵を産むそうだから、繁殖率という意味では似たようなものかもしれない。
おっさんとはすでにラインの交換は済ませていた。おれはついでのように質問した。
「そういえば大前のおっさんって、どこに住んでるの?」
早速、おっさんはラインでファイルを送っているようだ。スマホから目を預けずにいった。
「小手指駅から歩いて十分くらいのところなんですが。小手指ケ原三丁目です。」
それだけわかれば、マップでおっさんの自宅を探すのは簡単だった。
次の日、おれは朝の七時に小手指ケ原にいた。
おもちゃのような一軒家が立ち並ぶ分譲地で、どの家の駐車場にもプリウスやフィットが収まっている。典型的な郊外の住宅街だ。おれは手に夏水堂のチラシを持ち、ビラ配りのアルバイトを装って、灰色のセラミックのタイルで仕上げられた大前家の玄関を見張っていた。
午前七時四十分、大前のおっさんが白い玄関を開けて出てきた。顔は無表情だが、雰囲気は暗い。池袋のスタンドではあんなに元気なのに、会社に行くときはこれほど暗い顔をしているのだ。大変な仕事なんだなと思う。まあ、追いだし部屋で仕事でない仕事につくのは、毎日大変なプレッシャーに違いない。
続いておれは本命を待ち続けた。大前浩一、高校三年生。おれと同じ高三、それの夏といえば一世一代の勝負時だ。見覚えのある白い半袖シャツに、チェックのズボン。浩一が玄関から出てきたのは、八時十五分だった。夏休み中は毎日朝から予備校に通っているのもおっさんからリサーチ済み。
おっさんはエプロンで手を拭きながら、大通りにやってきた。おれの隣に座るように言う。
「すまないが、さっきの「陽来軒」の画像、おれのスマートフォンに送ってくれないか。音声ファイルもいっしょに。」
おっさんは怪訝な顔をした。
「拳二さんに止められたのに、悠さんはどうするつもりなんですか?」
年下にも丁寧語を絶やさないオヤジ。
「拳二はああいってたが、おれとしてはこの街で堂々とクスリが売られるのは、たまらないんだ。そういうのは、おれやS・ウルフの方が拳二より慣れてるから、こっちに任せてもらえないか。悪いようにはしないし、あの店もキレイに潰してやるよ。」
そうはいったが、おれの最大の関心は浩一にあった。銀司のような輩は池袋だけでなく東京中にいる。ショウジョウバエのようなもので、いくら叩いても湧いてくるのだ。まあ、ショウジョウバエには失礼かもしれないが、奴らは二カ月ばかりの生涯で数百から数千の卵を産むそうだから、繁殖率という意味では似たようなものかもしれない。
おっさんとはすでにラインの交換は済ませていた。おれはついでのように質問した。
「そういえば大前のおっさんって、どこに住んでるの?」
早速、おっさんはラインでファイルを送っているようだ。スマホから目を預けずにいった。
「小手指駅から歩いて十分くらいのところなんですが。小手指ケ原三丁目です。」
それだけわかれば、マップでおっさんの自宅を探すのは簡単だった。
次の日、おれは朝の七時に小手指ケ原にいた。
おもちゃのような一軒家が立ち並ぶ分譲地で、どの家の駐車場にもプリウスやフィットが収まっている。典型的な郊外の住宅街だ。おれは手に夏水堂のチラシを持ち、ビラ配りのアルバイトを装って、灰色のセラミックのタイルで仕上げられた大前家の玄関を見張っていた。
午前七時四十分、大前のおっさんが白い玄関を開けて出てきた。顔は無表情だが、雰囲気は暗い。池袋のスタンドではあんなに元気なのに、会社に行くときはこれほど暗い顔をしているのだ。大変な仕事なんだなと思う。まあ、追いだし部屋で仕事でない仕事につくのは、毎日大変なプレッシャーに違いない。
続いておれは本命を待ち続けた。大前浩一、高校三年生。おれと同じ高三、それの夏といえば一世一代の勝負時だ。見覚えのある白い半袖シャツに、チェックのズボン。浩一が玄関から出てきたのは、八時十五分だった。夏休み中は毎日朝から予備校に通っているのもおっさんからリサーチ済み。