ー特別篇ータピオカミルクティードリーム
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「写真だけでなく、会話を録音したものもあります。隠語だらけなので、証拠としての価値はあまりないかもしれませんが。」
拳二の声は落ち着いていた。
「アンタはそれをどうするつもりなんだ。」
おっさんはしっかりと一度うなずいていう。
「拳二さんの許可が貰えるなら、池袋の警察署に送ります。」
おれとS・ウルフの王様がよくつかう手だった。おれたちには別に法律や執行機関をつかうことにためらいはない。だが、拳二は違うようだ。
「やめておけ。俺ぁ達とは関わりがないことだ。池袋には百を超える組織がある。そのうちの半分以上は、薬物に手を出しているだろう。羽沢組は表向きクスリはご法度だが、それでも手軽なしのぎに手を出す組織は絶えない。俺ぁは銀司の店をハメる気はない。」
おれは思わず声を上げそうになった。拳二の世界の独特のモラルは別に構わない。だが、浩一のような若いガキが薬物を常用するようになったら、その先に待つのは地獄だ。おれは口をはさもうとした。
「ちょっと待て……」
そこまでいったところで、グリーン大通りから男たちの怒声があたりを圧して轟いた。雷みたいだ。拳二は瞬時に顔を引き締め、店の中に声をかけた。
「ひとり残して、全員俺ぁについてこい。」
おれは真っ先に飛び出した拳二の背中を追って、池袋東口のメインストリートを駆けた。
既に陽来軒の前には人だかりができていた。店先で男たちが言い争っている。首筋に紺の炎を刻んだ店の男が叫んだ。
「約束の金を払え。ブツだけもって、トンズラなんてふざけた野郎だ!!」
胸倉をつかまれた客のほうにも、手の甲には何故か真円のタトゥー。なにか意味があるのだろうが、おれにはわからない。どこかのチームの証だろうか。
「だから、本社の理事長に話をつけてあるといってんだろうが。月末になったら、きれいに精算するって。俺が信じられねぇのか!」
どうにも救われない低次元の揉め事だった。いつ飛ぶか分からないつけ払いの客と店の闘いだ。日本中の飲み屋街で毎日起きてるような話。だが、今回の商品はシャンパンでもウィスキーでもなく違法薬物だ。
拳二の後ろにはおれと大前のおっさん。さらにその後方にバイトふたりが控えている。S・ウルフのふたりは、それなりのガタイの良さ。拳二が息を深く吸って、陽来軒に向かって叫んだ。
「銀司、いるか?いるなら、さっさと出て来い!」
周囲に集まった人だかりのざわめきが、ピタリと止まる。千両役者のようにゆっくりと間を取って、神藤会の向谷銀司が現れた。リーゼント、棒のような身体、顔にはしぶとい笑み。自分の手下に声をかける。
拳二の声は落ち着いていた。
「アンタはそれをどうするつもりなんだ。」
おっさんはしっかりと一度うなずいていう。
「拳二さんの許可が貰えるなら、池袋の警察署に送ります。」
おれとS・ウルフの王様がよくつかう手だった。おれたちには別に法律や執行機関をつかうことにためらいはない。だが、拳二は違うようだ。
「やめておけ。俺ぁ達とは関わりがないことだ。池袋には百を超える組織がある。そのうちの半分以上は、薬物に手を出しているだろう。羽沢組は表向きクスリはご法度だが、それでも手軽なしのぎに手を出す組織は絶えない。俺ぁは銀司の店をハメる気はない。」
おれは思わず声を上げそうになった。拳二の世界の独特のモラルは別に構わない。だが、浩一のような若いガキが薬物を常用するようになったら、その先に待つのは地獄だ。おれは口をはさもうとした。
「ちょっと待て……」
そこまでいったところで、グリーン大通りから男たちの怒声があたりを圧して轟いた。雷みたいだ。拳二は瞬時に顔を引き締め、店の中に声をかけた。
「ひとり残して、全員俺ぁについてこい。」
おれは真っ先に飛び出した拳二の背中を追って、池袋東口のメインストリートを駆けた。
既に陽来軒の前には人だかりができていた。店先で男たちが言い争っている。首筋に紺の炎を刻んだ店の男が叫んだ。
「約束の金を払え。ブツだけもって、トンズラなんてふざけた野郎だ!!」
胸倉をつかまれた客のほうにも、手の甲には何故か真円のタトゥー。なにか意味があるのだろうが、おれにはわからない。どこかのチームの証だろうか。
「だから、本社の理事長に話をつけてあるといってんだろうが。月末になったら、きれいに精算するって。俺が信じられねぇのか!」
どうにも救われない低次元の揉め事だった。いつ飛ぶか分からないつけ払いの客と店の闘いだ。日本中の飲み屋街で毎日起きてるような話。だが、今回の商品はシャンパンでもウィスキーでもなく違法薬物だ。
拳二の後ろにはおれと大前のおっさん。さらにその後方にバイトふたりが控えている。S・ウルフのふたりは、それなりのガタイの良さ。拳二が息を深く吸って、陽来軒に向かって叫んだ。
「銀司、いるか?いるなら、さっさと出て来い!」
周囲に集まった人だかりのざわめきが、ピタリと止まる。千両役者のようにゆっくりと間を取って、神藤会の向谷銀司が現れた。リーゼント、棒のような身体、顔にはしぶとい笑み。自分の手下に声をかける。