ー特別篇ータピオカミルクティードリーム
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『そいつはいろいろだろ。中国から仕入れた精巧な偽造ブランド品とか、映画やドラマや裏もののコピーディスクとか、クスリ関係とかな』
なるほど、裏の世界ではいろいろな商品がある物だ。
「池袋でやるとしたら、なにが一番いい?」
『中国にコネがあるなら偽造ブランド品。それより手っ取り早くあぶく銭をつかむなら、クスリだろ。』
陽来軒は夏水堂と同じような極狭スタンドだ。バックヤードに偽造ブランド品の倉庫があるとは思えなかった。クスリ関係。最悪の一択が残った。
『なんだ、悠。話があるなら、俺ぁにいえ。崇がらみの新しいトラブルか?』
いいや、まだ話せないといって、おれは通話を切った。
大前のおっさんに秘密があるように、浩一にも秘密がある。なあ、アンタにだって誰にも言えないような秘密がひとつやふたつはあるよな。もちろん、おれにだってある。
それが嘘が真実で、真実がフェイクニュースだといわれる時代に、大人になるってことだ。
おれが浩一をどうすべきか迷っているうちに、先に動いたのはその父親の方だった。大前のおっさんは陽来軒がタピオカミルティーの店でなくなってからも、偵察と観察を続けていたらしい。
八月もなかばの夕方、おれと拳二がケヤキの木陰でタピオカミルティーをのんでいると、おっさんがやってきた。顔には悲壮な決意。おれはてっきりバイトを辞めるか、家族に追いだし部屋のことがばれたのかと、肝を冷やした。
「あの、ちょっとお時間いいでしょうか?」
オーナーの拳二にはやけに腰が低い。年齢は40歳近く拳二の方が下なんだけどな。
「ああ、かまわない。なんだ?」
拳二は池袋のキングとは別な意味で圧力があった。自然に周囲の人間の背をしゃんと伸ばさせるような。大前のおっさんはまたも直立不動でいう。
「「陽来軒」のことで、ご報告があります。」
拳二はおれの方をちらりと見た。軽いうんざり。
「私はあの店がタピオカを売らなくなってからも、偵察を続けていました。現在は半分閉じたシャッターの中で、固定客向けに何かを売っている世です。先週、あの店に入っていくギャング風の男たちが、白いのとかピルとか言っていました。私は信じられなかった。こんな池袋の中心で、堂々と違法薬物を扱うような店があるなんて。」
六本木、渋谷、新宿。いつは東京都の繁華街であたりまえのことなんだが、大前のおっさんにはショックだったようだ。そうでなければ年に一万人以上も薬物で逮捕されるはずがない。おっさんは制服の黒いパンツからスマートフォンを抜いた。おれ達に画面を見せる。半分閉じたシャッターをくぐる腕にびっしりとタトゥーを入れた男たち。そんな写真が何枚か。
なるほど、裏の世界ではいろいろな商品がある物だ。
「池袋でやるとしたら、なにが一番いい?」
『中国にコネがあるなら偽造ブランド品。それより手っ取り早くあぶく銭をつかむなら、クスリだろ。』
陽来軒は夏水堂と同じような極狭スタンドだ。バックヤードに偽造ブランド品の倉庫があるとは思えなかった。クスリ関係。最悪の一択が残った。
『なんだ、悠。話があるなら、俺ぁにいえ。崇がらみの新しいトラブルか?』
いいや、まだ話せないといって、おれは通話を切った。
大前のおっさんに秘密があるように、浩一にも秘密がある。なあ、アンタにだって誰にも言えないような秘密がひとつやふたつはあるよな。もちろん、おれにだってある。
それが嘘が真実で、真実がフェイクニュースだといわれる時代に、大人になるってことだ。
おれが浩一をどうすべきか迷っているうちに、先に動いたのはその父親の方だった。大前のおっさんは陽来軒がタピオカミルティーの店でなくなってからも、偵察と観察を続けていたらしい。
八月もなかばの夕方、おれと拳二がケヤキの木陰でタピオカミルティーをのんでいると、おっさんがやってきた。顔には悲壮な決意。おれはてっきりバイトを辞めるか、家族に追いだし部屋のことがばれたのかと、肝を冷やした。
「あの、ちょっとお時間いいでしょうか?」
オーナーの拳二にはやけに腰が低い。年齢は40歳近く拳二の方が下なんだけどな。
「ああ、かまわない。なんだ?」
拳二は池袋のキングとは別な意味で圧力があった。自然に周囲の人間の背をしゃんと伸ばさせるような。大前のおっさんはまたも直立不動でいう。
「「陽来軒」のことで、ご報告があります。」
拳二はおれの方をちらりと見た。軽いうんざり。
「私はあの店がタピオカを売らなくなってからも、偵察を続けていました。現在は半分閉じたシャッターの中で、固定客向けに何かを売っている世です。先週、あの店に入っていくギャング風の男たちが、白いのとかピルとか言っていました。私は信じられなかった。こんな池袋の中心で、堂々と違法薬物を扱うような店があるなんて。」
六本木、渋谷、新宿。いつは東京都の繁華街であたりまえのことなんだが、大前のおっさんにはショックだったようだ。そうでなければ年に一万人以上も薬物で逮捕されるはずがない。おっさんは制服の黒いパンツからスマートフォンを抜いた。おれ達に画面を見せる。半分閉じたシャッターをくぐる腕にびっしりとタトゥーを入れた男たち。そんな写真が何枚か。