ー特別篇ータピオカミルクティードリーム
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陽来軒で働く男たちも変わった。
以前は少しやんちゃな街のガキといった雰囲気だったが、ぐっと危険な臭いが鼻につくようになった。タトゥーは相変わらず池袋の下半分で生きているガキには大人気だが、いろいろと危険度は異なる。たいていは半袖シャツでも着ていれば、キレイに隠れる場所に入れるものだ。ガキにも家族や社会生活というものがある。
だが、陽来軒の男たちは違った。手の甲や首、酷いやつは顔にまでタトゥーをいれている。アウトローの証明だ。これでは普通の女子たちは怖がって近づかないだろう。まあ、普通の男たちだって同じことだが。そうなると、タピオカミルティーなんて商売になるはずもない。
おれは興味本位で銀司と神藤会のスタンドを見張っていた。
客層は一段年齢が上がって、遊び人風の中年の男女までタピオカミルティーを売らないスタンドの中に消えていく。普通の若い女は誰も近づかなくなった。やってくるのはヤンチャそうなガキとでたらめにケバいプロの女、職業不詳の金だけはありそうな日焼けした中年男。タピオカミルティーというより、違法カジノの客筋によく似ている。
そんな日、おれは大前のおっさんの長男が、友人ふたりと陽来軒の半分閉じたシャッターをくぐるのを目撃した。
時刻は午後四時過ぎ。まだ大前のおっさんが追いだし部屋で、何度目かのビジネス書を読んでいる時間だった。Tシャツにジーンズの三人組が、左右に注意を払いながら、陽来軒に近づいていく。
後ろ姿でもしかしてと思ったが、シャッターをくぐるとき横顔が見えて確信した。三人の高校生の右端は、浩一で間違いない。おれはスマホをいじりながら、ガードレールに座って待った。五分もせずに三人組は出てくる。もちろん、その手にタピオカミルティーはない。そのままじゃれあいながら、グリーン大通りの先の東口五差路を左に折れて、大手カラオケチェーンのビルに消えていった。
何時間後に出てくるのかもわからない。おれはそこで尾行をやめて、西口に戻った。
おれも店番をしなければいけない時間だ。夕方から始まる茶屋のかき入れ時である。
忙しい店番の合間をぬって、おれは西一番街の歩道に出た。スマートフォンを抜くと、拳二の番号を選んだ。本職のことは本職に聞け。
『どうした、悠』
崇に負けずそっけない声。
「お前に聞きたいことがある。そっちの世界で、繁華街に小さな店を出す。たいして客なんかこない暇な店だ。近所の住人からは、なぜ潰れないか心配されるような。そんな店では、普通はなにを商っているんだ?」
どの繁華街にも何軒か、そんな店があるよな。拳二は一瞬考えるといった。
以前は少しやんちゃな街のガキといった雰囲気だったが、ぐっと危険な臭いが鼻につくようになった。タトゥーは相変わらず池袋の下半分で生きているガキには大人気だが、いろいろと危険度は異なる。たいていは半袖シャツでも着ていれば、キレイに隠れる場所に入れるものだ。ガキにも家族や社会生活というものがある。
だが、陽来軒の男たちは違った。手の甲や首、酷いやつは顔にまでタトゥーをいれている。アウトローの証明だ。これでは普通の女子たちは怖がって近づかないだろう。まあ、普通の男たちだって同じことだが。そうなると、タピオカミルティーなんて商売になるはずもない。
おれは興味本位で銀司と神藤会のスタンドを見張っていた。
客層は一段年齢が上がって、遊び人風の中年の男女までタピオカミルティーを売らないスタンドの中に消えていく。普通の若い女は誰も近づかなくなった。やってくるのはヤンチャそうなガキとでたらめにケバいプロの女、職業不詳の金だけはありそうな日焼けした中年男。タピオカミルティーというより、違法カジノの客筋によく似ている。
そんな日、おれは大前のおっさんの長男が、友人ふたりと陽来軒の半分閉じたシャッターをくぐるのを目撃した。
時刻は午後四時過ぎ。まだ大前のおっさんが追いだし部屋で、何度目かのビジネス書を読んでいる時間だった。Tシャツにジーンズの三人組が、左右に注意を払いながら、陽来軒に近づいていく。
後ろ姿でもしかしてと思ったが、シャッターをくぐるとき横顔が見えて確信した。三人の高校生の右端は、浩一で間違いない。おれはスマホをいじりながら、ガードレールに座って待った。五分もせずに三人組は出てくる。もちろん、その手にタピオカミルティーはない。そのままじゃれあいながら、グリーン大通りの先の東口五差路を左に折れて、大手カラオケチェーンのビルに消えていった。
何時間後に出てくるのかもわからない。おれはそこで尾行をやめて、西口に戻った。
おれも店番をしなければいけない時間だ。夕方から始まる茶屋のかき入れ時である。
忙しい店番の合間をぬって、おれは西一番街の歩道に出た。スマートフォンを抜くと、拳二の番号を選んだ。本職のことは本職に聞け。
『どうした、悠』
崇に負けずそっけない声。
「お前に聞きたいことがある。そっちの世界で、繁華街に小さな店を出す。たいして客なんかこない暇な店だ。近所の住人からは、なぜ潰れないか心配されるような。そんな店では、普通はなにを商っているんだ?」
どの繁華街にも何軒か、そんな店があるよな。拳二は一瞬考えるといった。