ー特別編ー黄色のCurrency
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俺はジープを使わず、タクシーをつかうことにした。
どうせ現場にはSウルフの車が複数まわされているだろう。
グリーン大通りを左折した黄色いタクシーは、造幣局のコンクリート塀に沿って止まる。
おれが歩道におりると、腕を組んで塀にもたれていた崇が軽く壁を蹴って、まっすぐにたった。
いつもながら姿勢が良い。
少し離れたところには紅、澪、将也と更に三人のSウルフがダブダブのスウェットパンツを履いて待機していた。
俺はそっちの方にも親指を立てて無言で挨拶を送った。
「なんで、将也までいる?」
「あぁ…紅が気に入ったらしくてな。今はアイツもSウルフの新メンバー候補だ。」
驚いた。俺の知らないところでドンドンSウルフが勢力圏を広げて人材を確保していっている。
ただうちの学校の優秀な生徒を勧誘するのはいただけない。
「それで、ホリイは?」
「やつは店の奥にはいってそろそろ20分になる。」
おれがうなずくと崇はSウルフのメンバーに向かっていった。
「ダート、ピックの用意はいいか」
ダートは泥。Sウルフのほとんどは本名ではなく、とおりなで呼びあっている。
違法行為をしたときのリスクを最小に食い止めるためだ。ダートと呼ばれたベレー帽の男はウエストポーチから、財布のような物を取り出した。
「いつでもいいですよ。キング。」
俺たちは二車線の通りをわたって、スミオカフェのウッドデッキに移動した。
崇とおれ、それに紅、澪、将也、それとSウルフの二人が木枠のガラス扉の前にたつ。ダートは俺たちの背後で鍵穴の正面に座った。
バリバリと音を立てて工具いれをあけると、なかから金属製の耳かきのような道具をとりだした。
最初に左手で一本をノブの鍵穴にさし、錠前のなかで何かを固定したようだった。続いて右手でもう一本の耳かきを穴にいれる。
今度はやや乱暴に二、三度引っ掻くようにだしいれを繰り返す。
ダートは二本の道具を右手で固定したまま左手でゆっくりとノブをまわした。
もう開いている。
やつはかがみこむと、ドアの下枠についている補助錠にも同じことをやった。
それぞれの鍵に十数秒、あわせて三十秒を切る時間で、おしゃれなカフェの扉は簡単に突破された。
「これじゃ、警察もたまんないな」
こんなに簡単では、取り締まる側が追いつくはずがなかった。
俺がそういうと崇は無表情にうなずいてみせた。
俺たちはダートとSウルフの二人を見張りに残し、静かに店内に入っていった。
明かりの消えたカフェのなかは、どこかの高級マンションのモデルルームのようだった。
イーズム、ベルトイヤ、ヤコブセン。
世界の名作チェアがあちこちでメープル材のテーブルを取り囲んで、無関心な美しさをはなっている。
どうせ現場にはSウルフの車が複数まわされているだろう。
グリーン大通りを左折した黄色いタクシーは、造幣局のコンクリート塀に沿って止まる。
おれが歩道におりると、腕を組んで塀にもたれていた崇が軽く壁を蹴って、まっすぐにたった。
いつもながら姿勢が良い。
少し離れたところには紅、澪、将也と更に三人のSウルフがダブダブのスウェットパンツを履いて待機していた。
俺はそっちの方にも親指を立てて無言で挨拶を送った。
「なんで、将也までいる?」
「あぁ…紅が気に入ったらしくてな。今はアイツもSウルフの新メンバー候補だ。」
驚いた。俺の知らないところでドンドンSウルフが勢力圏を広げて人材を確保していっている。
ただうちの学校の優秀な生徒を勧誘するのはいただけない。
「それで、ホリイは?」
「やつは店の奥にはいってそろそろ20分になる。」
おれがうなずくと崇はSウルフのメンバーに向かっていった。
「ダート、ピックの用意はいいか」
ダートは泥。Sウルフのほとんどは本名ではなく、とおりなで呼びあっている。
違法行為をしたときのリスクを最小に食い止めるためだ。ダートと呼ばれたベレー帽の男はウエストポーチから、財布のような物を取り出した。
「いつでもいいですよ。キング。」
俺たちは二車線の通りをわたって、スミオカフェのウッドデッキに移動した。
崇とおれ、それに紅、澪、将也、それとSウルフの二人が木枠のガラス扉の前にたつ。ダートは俺たちの背後で鍵穴の正面に座った。
バリバリと音を立てて工具いれをあけると、なかから金属製の耳かきのような道具をとりだした。
最初に左手で一本をノブの鍵穴にさし、錠前のなかで何かを固定したようだった。続いて右手でもう一本の耳かきを穴にいれる。
今度はやや乱暴に二、三度引っ掻くようにだしいれを繰り返す。
ダートは二本の道具を右手で固定したまま左手でゆっくりとノブをまわした。
もう開いている。
やつはかがみこむと、ドアの下枠についている補助錠にも同じことをやった。
それぞれの鍵に十数秒、あわせて三十秒を切る時間で、おしゃれなカフェの扉は簡単に突破された。
「これじゃ、警察もたまんないな」
こんなに簡単では、取り締まる側が追いつくはずがなかった。
俺がそういうと崇は無表情にうなずいてみせた。
俺たちはダートとSウルフの二人を見張りに残し、静かに店内に入っていった。
明かりの消えたカフェのなかは、どこかの高級マンションのモデルルームのようだった。
イーズム、ベルトイヤ、ヤコブセン。
世界の名作チェアがあちこちでメープル材のテーブルを取り囲んで、無関心な美しさをはなっている。