ー特別篇ータピオカミルクティードリーム
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カウンターの中に戻ったおっさんは、再び接客を始めた。意外と女子高生の扱いも見事なものだ。といってもなれなれしくナンパに接するのではなく、つねに丁寧語。それが逆にS・ウルフの遊び慣れたイケメン店員の間では好印象だったらしい。大前のおっさんからタピオカミルクティーを受け取ってがっかりする若い女は少ない。
おれはガードレールに腰を乗せて、スマートフォンを使った。拳二と崇の番号は目を閉じてもタッチできる。拳二はすぐに出た。背景は街のノイズ。池袋のどこかにいるのだろう。
『悠か。どうした?この前のコピーのギャラは振りこんどいただろ。』
おれの書いたコピーはまあまあの出来。拳二は一万枚チラシを刷って、一ノ瀬組の若衆とS・ウルフに配らせたそうだ。来客数はその週は二百二十パーセントアップ。
「ああ。ありがとな。それより、ジャックナイフのギンジってリーゼント知ってるか?」
『ああ、しってる。向谷銀司。向こうは俺ぁのことをライバルだと認定しているみたいだ。京極会系の三次団体で、神藤会って組織の下っ端だ。あの馬鹿がどうした?』
おかしな間抜けにからまれる。そいつはセンスのいい奴の宿命だ。銀司は拳二のファンなのかもしれない。ちなみに拳二のいる一ノ瀬組は、池袋三大組織のひとつ羽沢組の二次団体である。
「「夏水堂」の一軒おいた先で、改装工事をしてただろ。ドラッグストアの隣だ。」
『ああ、それがどうした?』
「銀司が店を出した。タピオカミルクティーの店だ。おまけに店のロゴもデザインも拳二のところとそっくり。最悪なのは開店セールで、向こうは百五十円も安いんだ。」
『なんなんだ、あいつ。人のしのぎに手を出しやがって。』
おれはガードレールから、夏水堂のカウンターにいる大前のおっさんに手を振った。こちらに呼んでやる。
「それから、大前のおっさんはなかなかの度胸だ。銀司に一歩も引かなかった。ちょっと話をしてやってくれ。」
白い麻のカプリシャツに黒いイージーパンツをを履いた太めのおっさんが、細かな歩幅でやってくる。おれはスマートフォンのマイクをふさいでいった。
「銀司の店の話をしてるところだ。例の商標権について、拳二に話してやってくれ。」
スピーカーモードにしたおれのスマホをうやうやしく受け取ると、大前のおっさんは直立不動になった。夕暮れの大通りに彫刻のように立つ。おれは筋肉美の若いやつばかり彫刻にするのは、どうかと思う。カッコイイ奴だっていろいろだよな。
おれはガードレールに腰を乗せて、スマートフォンを使った。拳二と崇の番号は目を閉じてもタッチできる。拳二はすぐに出た。背景は街のノイズ。池袋のどこかにいるのだろう。
『悠か。どうした?この前のコピーのギャラは振りこんどいただろ。』
おれの書いたコピーはまあまあの出来。拳二は一万枚チラシを刷って、一ノ瀬組の若衆とS・ウルフに配らせたそうだ。来客数はその週は二百二十パーセントアップ。
「ああ。ありがとな。それより、ジャックナイフのギンジってリーゼント知ってるか?」
『ああ、しってる。向谷銀司。向こうは俺ぁのことをライバルだと認定しているみたいだ。京極会系の三次団体で、神藤会って組織の下っ端だ。あの馬鹿がどうした?』
おかしな間抜けにからまれる。そいつはセンスのいい奴の宿命だ。銀司は拳二のファンなのかもしれない。ちなみに拳二のいる一ノ瀬組は、池袋三大組織のひとつ羽沢組の二次団体である。
「「夏水堂」の一軒おいた先で、改装工事をしてただろ。ドラッグストアの隣だ。」
『ああ、それがどうした?』
「銀司が店を出した。タピオカミルクティーの店だ。おまけに店のロゴもデザインも拳二のところとそっくり。最悪なのは開店セールで、向こうは百五十円も安いんだ。」
『なんなんだ、あいつ。人のしのぎに手を出しやがって。』
おれはガードレールから、夏水堂のカウンターにいる大前のおっさんに手を振った。こちらに呼んでやる。
「それから、大前のおっさんはなかなかの度胸だ。銀司に一歩も引かなかった。ちょっと話をしてやってくれ。」
白い麻のカプリシャツに黒いイージーパンツをを履いた太めのおっさんが、細かな歩幅でやってくる。おれはスマートフォンのマイクをふさいでいった。
「銀司の店の話をしてるところだ。例の商標権について、拳二に話してやってくれ。」
スピーカーモードにしたおれのスマホをうやうやしく受け取ると、大前のおっさんは直立不動になった。夕暮れの大通りに彫刻のように立つ。おれは筋肉美の若いやつばかり彫刻にするのは、どうかと思う。カッコイイ奴だっていろいろだよな。