ー特別篇ータピオカミルクティードリーム
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「あー、もしかして、お前、おっさんの……」
おれを無視してガキは叫んだ。
「だから、おやじ、なにやってんだよ。ここはハイライトじゃないだろ。何だよ、そのカッコ」
夏水堂の制服は白いカプリシャツだった。胸元が深く開いたボタン無しのプルオーバータイプのリゾートウエアである。それを襟を立てて着るのが夏水堂だ。ここのアルバイトの何人かがインスタグラムで女子高生に大人気になっている。
仕方なくおれはいった。
「おい、店に迷惑だから、親子ゲンカなら家に帰ってやってくれ。オヤジさんは会社公認でアルバイト中なんだよ。」
大前のおっさんの顔が青くなった。バイトのことも、追いだし部屋のことも、家族に話してなかったのか。
「なにがバイトだよ。母さんも、僕も、最近父さんの様子が変わったから、心配してたんだ。なにが会社公認だよ、ふざけんな」
高校生のガキはグリーン大通りを駅の方に向かって走り出してしまう。
「浩一!」
大前のおっさんが背中に声をかけたが、息子は振り返らなかった。拳二がビール缶を片手ペシャンコに握りつぶしていった。
「なんだよ、めんどくせぇな。よそでやれ、よそで」
「すみません、部長。」
大前のおっさんがカウンター越しに謝った。拳二は夜の熱気のなかふらりと立ちあがった。
「俺ぁはもう行く。ちゃんと後片付けして、店閉めろよ。それから部長はやめろ。じゃあな、悠。」
おれに潰れた缶を差し出した。こいつは缶ビール二本程度では水を飲んでるも変わらない男なのだ。閉店後のシフトはおっさんひとりだった。おれは潰れた缶をもって、カウンターのなかにはいった。すこしだけいっしょに働くのも、いいかもしれない。
スツールを片し、フロアに掃除機をかけ、力を込めてカウンターを拭いた。大前のおっさんはミルクパンと大型のティーポットを洗っていた。ポットの方の茶渋はなかなか難敵のようだ。業務用のクレンザーをつけたスチールウールで磨いている。おっさんの額には玉の汗。
「息子さん、浩一っていうんだな。高校生?」
「ええ、悠さんと同じ高三です。私と違って、出来のいい子なんですが。とにかく真面目すぎて」
おれは掃除機のコードを巻きながら、くすりと笑った。
「アンタだって、めちゃくちゃ真面目じゃないか。すくなくともここに来てるS・ウルフの誰よりもさ。」
おっさんもにやりと笑った。頭に手をやると、指先でハゲ頭の境界線をかいた。そういえば最初の面接の時も、頭をかいていた気がする。
おれを無視してガキは叫んだ。
「だから、おやじ、なにやってんだよ。ここはハイライトじゃないだろ。何だよ、そのカッコ」
夏水堂の制服は白いカプリシャツだった。胸元が深く開いたボタン無しのプルオーバータイプのリゾートウエアである。それを襟を立てて着るのが夏水堂だ。ここのアルバイトの何人かがインスタグラムで女子高生に大人気になっている。
仕方なくおれはいった。
「おい、店に迷惑だから、親子ゲンカなら家に帰ってやってくれ。オヤジさんは会社公認でアルバイト中なんだよ。」
大前のおっさんの顔が青くなった。バイトのことも、追いだし部屋のことも、家族に話してなかったのか。
「なにがバイトだよ。母さんも、僕も、最近父さんの様子が変わったから、心配してたんだ。なにが会社公認だよ、ふざけんな」
高校生のガキはグリーン大通りを駅の方に向かって走り出してしまう。
「浩一!」
大前のおっさんが背中に声をかけたが、息子は振り返らなかった。拳二がビール缶を片手ペシャンコに握りつぶしていった。
「なんだよ、めんどくせぇな。よそでやれ、よそで」
「すみません、部長。」
大前のおっさんがカウンター越しに謝った。拳二は夜の熱気のなかふらりと立ちあがった。
「俺ぁはもう行く。ちゃんと後片付けして、店閉めろよ。それから部長はやめろ。じゃあな、悠。」
おれに潰れた缶を差し出した。こいつは缶ビール二本程度では水を飲んでるも変わらない男なのだ。閉店後のシフトはおっさんひとりだった。おれは潰れた缶をもって、カウンターのなかにはいった。すこしだけいっしょに働くのも、いいかもしれない。
スツールを片し、フロアに掃除機をかけ、力を込めてカウンターを拭いた。大前のおっさんはミルクパンと大型のティーポットを洗っていた。ポットの方の茶渋はなかなか難敵のようだ。業務用のクレンザーをつけたスチールウールで磨いている。おっさんの額には玉の汗。
「息子さん、浩一っていうんだな。高校生?」
「ええ、悠さんと同じ高三です。私と違って、出来のいい子なんですが。とにかく真面目すぎて」
おれは掃除機のコードを巻きながら、くすりと笑った。
「アンタだって、めちゃくちゃ真面目じゃないか。すくなくともここに来てるS・ウルフの誰よりもさ。」
おっさんもにやりと笑った。頭に手をやると、指先でハゲ頭の境界線をかいた。そういえば最初の面接の時も、頭をかいていた気がする。