ー特別篇ー立教通り整形シンジゲート
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「おれとしては、やつがいきなりあんたを襲う可能性もあるから、しばらく自宅と職場の行き帰りくらいはガードをつけたいな。」
「悠さんがですか」
「いや、おれとおれの友達の部下」
池袋のギャングボーイズなんていったら、断られる可能性があるからな。スズカの目が一瞬迷いに揺れる。
「ですけど、わたしが襲われるってことはないと思うんです。」
おれは何件かストーカー対策をしたことがある。危ないやつはとことん危ない。それがストーカーだ。鳩を解体して、ドアに目やくちばしを張り付けたやつもいた。
「どうして」
スズカは口ごもった。マスクをずらして。プチトマトの四分のひときれを食べる。
「あのひとは暴力的なことはしない人だと思います。わたしが警察でなく悠さんに頼むことにしたのも、園田さんが可哀想な人だからです。」
可哀想なストーカー?気になる言葉だった。とくにつきまといされている当の本人からだとね。
「やつとはほんとうにつきあったことないんだよな」
「はい。でも同じ職場で一年半くらい働きましたから、すごい不器用な人なんだというのは分かります。園田さんはひとにノーと言えない気が弱い人で、いつも大変な仕事ばかり押し付けられていました。その経費削減のために残業禁止のオフィスだったんですけど、正社員の上司から明日までに頼むって、資料作成とかレポートの整理とかやらされて」
「時間外に」
「ええ、仕事を自宅に持ち帰って、ときには徹夜で仕上げていたみたいです。」
気が弱くてノーと言えない三十一歳の派遣社員か。
「でもさ、そういう気真面目な男がバカみたいに執着が強くて、気にいった女をつけまわすなんてよくある話だよな。」
初心な男ほどその傾向がある。落とし物を拾ってくれた。コンビニでひと言たまたま言葉を交わした。通りすがりに笑顔で目があった。その程度でストーカーになる純情男はいくらもいる。草食男子の時代は思い込みと執着の時代でもある。
「そうですかね。あのひとなりにわたしのことを心配してくれているとはわかるんですけど。でも、自分で決めたことだから」
やはりスズカの仮面を脱がせる必要がある。おれはゆっくりと切り出した。
「集団訴訟の準備が進んでいるらしい。池袋の4D整形だ。」
スズカのきれいな目が見開かれた。なんだか驚きの表情をつくる女優みたい。おれはさして美味くないライ麦パンのサンドイッチを齧って言う。
「悠さんがですか」
「いや、おれとおれの友達の部下」
池袋のギャングボーイズなんていったら、断られる可能性があるからな。スズカの目が一瞬迷いに揺れる。
「ですけど、わたしが襲われるってことはないと思うんです。」
おれは何件かストーカー対策をしたことがある。危ないやつはとことん危ない。それがストーカーだ。鳩を解体して、ドアに目やくちばしを張り付けたやつもいた。
「どうして」
スズカは口ごもった。マスクをずらして。プチトマトの四分のひときれを食べる。
「あのひとは暴力的なことはしない人だと思います。わたしが警察でなく悠さんに頼むことにしたのも、園田さんが可哀想な人だからです。」
可哀想なストーカー?気になる言葉だった。とくにつきまといされている当の本人からだとね。
「やつとはほんとうにつきあったことないんだよな」
「はい。でも同じ職場で一年半くらい働きましたから、すごい不器用な人なんだというのは分かります。園田さんはひとにノーと言えない気が弱い人で、いつも大変な仕事ばかり押し付けられていました。その経費削減のために残業禁止のオフィスだったんですけど、正社員の上司から明日までに頼むって、資料作成とかレポートの整理とかやらされて」
「時間外に」
「ええ、仕事を自宅に持ち帰って、ときには徹夜で仕上げていたみたいです。」
気が弱くてノーと言えない三十一歳の派遣社員か。
「でもさ、そういう気真面目な男がバカみたいに執着が強くて、気にいった女をつけまわすなんてよくある話だよな。」
初心な男ほどその傾向がある。落とし物を拾ってくれた。コンビニでひと言たまたま言葉を交わした。通りすがりに笑顔で目があった。その程度でストーカーになる純情男はいくらもいる。草食男子の時代は思い込みと執着の時代でもある。
「そうですかね。あのひとなりにわたしのことを心配してくれているとはわかるんですけど。でも、自分で決めたことだから」
やはりスズカの仮面を脱がせる必要がある。おれはゆっくりと切り出した。
「集団訴訟の準備が進んでいるらしい。池袋の4D整形だ。」
スズカのきれいな目が見開かれた。なんだか驚きの表情をつくる女優みたい。おれはさして美味くないライ麦パンのサンドイッチを齧って言う。