ー特別篇ー立教通り整形シンジゲート
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その夜、おれはスマホで電話をかけた。ガキの王・崇とはラインもやっているのだが、急ぎのときはめんどくさい。いつものように最初に出たのは取り次ぎ。個人用の電話に秘書がつくってどんだけ大企業なんだ。S・ウルフ。
「暑いな、ホント」
おれが季節の挨拶を送ると、奴はブリザードのような声で返してくる。
『そんなことをいうために、おれの貴重な時間をつかうのか、悠』
嫌味なやつ。おれは方向を変えることにした。
「お前がいってる美容院って、カット代いくら?」
あっけにとられたようで、めずらしく一泊の間が空く。やつの反射神経は打撃戦でも、会話も世界チャンピオン級だ。
『忘れたが、八千円とかじゃないか。それがどうした。そんなことを聞くやつは、お前がはじめてだ。』
おれのカットは駅前のボロの理髪店。十五分で千円だ。髪の毛にまで格差社会がある。さすが二十一世紀。
「ルウェス西池袋って、美容院知ってるか?」
『知らない。髪はいつも代官山で切ってる』
オシャレな街なんだろうな。いったことないけど。
「じゃあ、ジェフ鈴木っていう美容師も知らないよな。」
『知らん。新しいトラブルか?』
崇に隠しても仕方ない。荒事が起こりそうなときは、いつも力を借りているのだ。今回もあのストーカー男に、必要になるかもしれなかった。
「ああ、そうだ。もう少し事体が分かったら、お前に連絡するよ。」
『そうか、じゃあ悠は池袋4D美容外科って知らないか』
4D美容外科?その名前なら、テレビのCFできいたことがあった。あんたもわかるよな。自分たちを美容整形とアンチエイジング療法の実験台にしている年齢不詳の中年夫婦が院長をしているところだ。リムジンから降りてきてタキシードとソワレでプライベートジェットに乗りこむ仮面をかぶったようなカップル。なぜか、整形って顔から表情が消えて、お面みたいに硬くぎこちなくなるよな。
おれはCFのテーマを口づさんでやった。どんぴしゃの『仮面舞踏会』のワルツだ。
『ソイツだ。あの病院がいくつかのトラブルを起こしている。』
「へえ。どんなトラブル」
驚いた。だがS・ウルフは金のないこの街の底辺の駆け込み寺のような組織である。おれのところと同じで、ガキの様々なトラブルが持ちこまれるのだ。
『度重なる手術と高額な施術代金、それに当然、術後の顔面トラブルだな。苦情が何件かよせられている。キャッチコピーに偽りありだ。』
知らなかった。おれは女たちのトラブルは苦手。
「暑いな、ホント」
おれが季節の挨拶を送ると、奴はブリザードのような声で返してくる。
『そんなことをいうために、おれの貴重な時間をつかうのか、悠』
嫌味なやつ。おれは方向を変えることにした。
「お前がいってる美容院って、カット代いくら?」
あっけにとられたようで、めずらしく一泊の間が空く。やつの反射神経は打撃戦でも、会話も世界チャンピオン級だ。
『忘れたが、八千円とかじゃないか。それがどうした。そんなことを聞くやつは、お前がはじめてだ。』
おれのカットは駅前のボロの理髪店。十五分で千円だ。髪の毛にまで格差社会がある。さすが二十一世紀。
「ルウェス西池袋って、美容院知ってるか?」
『知らない。髪はいつも代官山で切ってる』
オシャレな街なんだろうな。いったことないけど。
「じゃあ、ジェフ鈴木っていう美容師も知らないよな。」
『知らん。新しいトラブルか?』
崇に隠しても仕方ない。荒事が起こりそうなときは、いつも力を借りているのだ。今回もあのストーカー男に、必要になるかもしれなかった。
「ああ、そうだ。もう少し事体が分かったら、お前に連絡するよ。」
『そうか、じゃあ悠は池袋4D美容外科って知らないか』
4D美容外科?その名前なら、テレビのCFできいたことがあった。あんたもわかるよな。自分たちを美容整形とアンチエイジング療法の実験台にしている年齢不詳の中年夫婦が院長をしているところだ。リムジンから降りてきてタキシードとソワレでプライベートジェットに乗りこむ仮面をかぶったようなカップル。なぜか、整形って顔から表情が消えて、お面みたいに硬くぎこちなくなるよな。
おれはCFのテーマを口づさんでやった。どんぴしゃの『仮面舞踏会』のワルツだ。
『ソイツだ。あの病院がいくつかのトラブルを起こしている。』
「へえ。どんなトラブル」
驚いた。だがS・ウルフは金のないこの街の底辺の駆け込み寺のような組織である。おれのところと同じで、ガキの様々なトラブルが持ちこまれるのだ。
『度重なる手術と高額な施術代金、それに当然、術後の顔面トラブルだな。苦情が何件かよせられている。キャッチコピーに偽りありだ。』
知らなかった。おれは女たちのトラブルは苦手。