ー特別篇ー立教通り整形シンジゲート
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
梅雨あけ直後って、いきなり気温が上昇するよな。夏の本番は前触れもなく、突然やってくる。
七月終わりのその日、池袋の空もキャンディの包み紙みたいな透明な青さで、パリパリに乾いていた。気温は猛暑日を更新する三十五・六度。キーボードを打つ指先がゆっくり溶けだして、エンターキーとシフトキーの間にダラダラと流れ落ちていくくらいの暑さ。
その日、おれは店番を久秀と交代して、池袋の街へ出た。和柄のTシャツと軍パン。いったいいくつまで、おれは軍パンをはくのだろう。自分でもちょっと不思議だ。いつはか迷彩も白くなるのだろうか。
むかった先はPダッシュパルコのカフェだった。とくにお気に入りというわけではないけれど、パソコンを持っていき仕事をするので、個人経営の小さな店だとか肩身が狭い。
例のストリートファッション誌に連載中のコラムは、またもひどい糞づまり。何年この仕事をしていても締め切りの辛さは、少しも軽くならない。それどころか年々重くなるばかりだ。それでいて、毎回なんとか締め切りには間に合っているのだから、これもまた不思議。
おれが描いていたネタは、最近耳にした若い夫婦のエピソード。夫も妻も契約社員で、事務職と介護の仕事をしながら、ふたりの子を育ててる。欲しかった三人目を妊娠したが、あきらめて中絶した。どう計算しても三人分の保育園の費用はまかなえなかったからだ。年寄りにまわす金の十分の一でもこれから生まれてくる子供たちに使えば、少しは少子化もましになるはずなんだけどな。
かんたんに要約すると、それくらいの内容のコラムを原稿用紙四枚書くのに、おれはいつだって朝から晩まで三日も四日もかかる。才能なし。
七月終わりのその日、池袋の空もキャンディの包み紙みたいな透明な青さで、パリパリに乾いていた。気温は猛暑日を更新する三十五・六度。キーボードを打つ指先がゆっくり溶けだして、エンターキーとシフトキーの間にダラダラと流れ落ちていくくらいの暑さ。
その日、おれは店番を久秀と交代して、池袋の街へ出た。和柄のTシャツと軍パン。いったいいくつまで、おれは軍パンをはくのだろう。自分でもちょっと不思議だ。いつはか迷彩も白くなるのだろうか。
むかった先はPダッシュパルコのカフェだった。とくにお気に入りというわけではないけれど、パソコンを持っていき仕事をするので、個人経営の小さな店だとか肩身が狭い。
例のストリートファッション誌に連載中のコラムは、またもひどい糞づまり。何年この仕事をしていても締め切りの辛さは、少しも軽くならない。それどころか年々重くなるばかりだ。それでいて、毎回なんとか締め切りには間に合っているのだから、これもまた不思議。
おれが描いていたネタは、最近耳にした若い夫婦のエピソード。夫も妻も契約社員で、事務職と介護の仕事をしながら、ふたりの子を育ててる。欲しかった三人目を妊娠したが、あきらめて中絶した。どう計算しても三人分の保育園の費用はまかなえなかったからだ。年寄りにまわす金の十分の一でもこれから生まれてくる子供たちに使えば、少しは少子化もましになるはずなんだけどな。
かんたんに要約すると、それくらいの内容のコラムを原稿用紙四枚書くのに、おれはいつだって朝から晩まで三日も四日もかかる。才能なし。