「悠の方はなにかわかったか？」

「わかったような、わからないような感じだな。」

もしかしたら一番なにも調べれてないのは俺かもしれない。

「あ、そうだ。将也、ホリイとアサノって普段どのくらいの割合でNPOセンターにいる？」

「アサノさんはほぼ毎日いますよ。けど集金や市内調査ににも出るときはありますよ。ホリイさんは…四日か五日に一度休む時があるかな。」

俺は手帳を開いて、一通り書きまとめて立ちあがった。

「よし、じゃ俺はラスト一軒いってくるよ。」

「「あ、俺も行くよ。」
」

紅・澪・将也の3人も立ちあがった。
着いてくるのは別に一人でよかったけど、断わる理由もなかったし全員でいくことにした。


………

最後の四軒目は明治通りぞい、目白二丁目のデリ・マングローブ。その店は二十代の姉妹が経営する中華茶専門店だった。

「「いらっしゃいませ。」」

中に入るとアオザイを着たやたら小さい店員と中華模様の深いニット帽子をかぶった店員が出てくる。

「あれ、ことり君じゃないかな。」

「あ、本当だ。いらっしゃい。」

「小雪に優日…お前らなにしてんだ？」

「一時間だけアルバイトだよ。ボランティアだけどね。」

コイツらもNPOに登録してるのか。

「悠知り合いか？」

「あぁ。そこのちっこいのが小学生の久世小雪でニット帽が同学年の月見里優日だ。」

「誰が小学生かな！」

小雪が両手をあげて抗議してくる。
同時に不釣り合いな巨大胸な胸が上下に揺れる。

「あ、中学生ですか？」

将也が手を打って、小雪を見た。

「中学生でもないかな！」

「あ、高校生か。俺と同じか。」

今度は澪が手を打った。
俺は肩を震わせて笑うのを必死に我慢していた。

「いやいや、この仔猫ちゃんはお前らより年上だぞ。高校三年だ。」

紅が小雪の頭に手をおいて将也と澪に説明した。

どうでもいいが190超えの紅が小雪の側に立つとなんかジブリ映画でも見てるみたいだ。

「とりあえず。ちびっこ店員席に案内しろ。」

「ことりくんは何様かな？！」

「お客様に決まってるだろ。」

「はい。四名様ご案内しますね。」

プリプリと怒っている小雪を制止しながら優日が席に案内してくれた。

「あら、奇遇ね。」


円卓型の木製テーブルに案内されると隣の一人掛けの席で古川稲葉がヒラヒラと手を振ってくる。

「なんだ、稲葉珍しいなこんなとこで。」

「あら、私だってカフェでお茶くらいするわよ。」

「本当は？」

「雪と優日の働いてる姿を見てウキウキしてたの。」
実に正直な女だ。けど、そんな楽しそうなことなら俺も誘ってほしい。

「悠こそ1人歩きじゃないなんて珍しいじゃない。」

「俺は野郎にはモテるかなら。ナンパしたら3人もついてきたんだよ。」

「さすがね。」

俺と稲葉はフフフと笑った。紅は慣れてるから特に気しなかったが澪と将也は反応に困っていた。