ー特別篇ーYoutuber∴芸術劇場
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おれ達が踊り場につくと同時にゴリラのマスクの四人が現れた。三人がゴム製のショックハンマーで武装して、ひとりはビデオカメラを構えている。一番のチビがいった。
「待っていたぞ、流星!ひとを安く使いやがって。ぼっこぼこにしてやるよ!」
ひとりが流星に殴りかかった。ハンマーが硬質プラスチックの防具を打つ鈍い音がした。
「待て!」
鋭く冷たいひと言は池袋のキングの声だ。次の瞬間には十人を超えるS・ウルフの精鋭が狭い踊り場を埋めていた。ゴリラひとりに三人ずつ張り付く。ゴリラのガキは自分たちより強い相手に多人数で取り囲まれるのに慣れていないようだった。ハンマーを振り回すが、手足をからめとられ、一人ずつ制圧されていった。床にうつぶせにされ、後ろ手にコードでくくられる。崇がいった。
「マスクを取れ」
ゴリラのマスクのしたの顔を見た。驚いた。みな、幼い顔をしている。全員十台で、中にはミドルかローティーンというやつもいる。おれはつい漏らした。
「まだガキなんだ。崇、あまりむごいことはするなよ。」
キング・崇は首を振りながら言った。
「連れていけ。少しばかり絞ってやらなきゃいけない」
戸田橋のガキを隠すように一団となって奥のエレベーターに向かっていく。崇はおれの隣にやってきた。
「流星、アンタもS・ウルフをだました償いはしてもらう」
流星はいきなり、深々と頭を下げた。全身にプロテクターをつけ、タンクトップと短パンという罰ゲームの格好でな、真剣だから逆におかしくなる。
「あとでどんな償いでもするから、ここの階段落ちだけはやりきらせてくれ。」
崇は氷の視線でおれを見た。うなずき返す。
「いいんじゃないか。楽しみにしている百二十万人もいる。」
流星はすこし涙ぐんだ。
「ありがとう、悠、キング。おれ、ちょっと飛んでくるわ。」
大エスカレーターのくだりサイドの天辺で、流星はヘルメットのGoproに向かって叫んだ。
「140☆流星だ。さあ、三周年記念東京芸術劇場大エスカレーターダイブ行くぜ!俺はこの三年間を誇りに思っているし、ユーチューブを見てるおまえらのことも大好きだ。チャンネル登録と拡散よろしくな。レッツ・フライ・トゥ・ザ・フューチャー!!」
やつは頭からくだりエスカレーターに向かって飛び込んだ。
おれはその日の午後にはアップされた流星の動画を見た。劇場まえのファサードにつくまでは、正確に八・二秒。そのあいだに流星は十七回転して、あちこちボロボロ。その動画は伝説になり、日付が変わるまでに三百万再生を稼いだ。
「待っていたぞ、流星!ひとを安く使いやがって。ぼっこぼこにしてやるよ!」
ひとりが流星に殴りかかった。ハンマーが硬質プラスチックの防具を打つ鈍い音がした。
「待て!」
鋭く冷たいひと言は池袋のキングの声だ。次の瞬間には十人を超えるS・ウルフの精鋭が狭い踊り場を埋めていた。ゴリラひとりに三人ずつ張り付く。ゴリラのガキは自分たちより強い相手に多人数で取り囲まれるのに慣れていないようだった。ハンマーを振り回すが、手足をからめとられ、一人ずつ制圧されていった。床にうつぶせにされ、後ろ手にコードでくくられる。崇がいった。
「マスクを取れ」
ゴリラのマスクのしたの顔を見た。驚いた。みな、幼い顔をしている。全員十台で、中にはミドルかローティーンというやつもいる。おれはつい漏らした。
「まだガキなんだ。崇、あまりむごいことはするなよ。」
キング・崇は首を振りながら言った。
「連れていけ。少しばかり絞ってやらなきゃいけない」
戸田橋のガキを隠すように一団となって奥のエレベーターに向かっていく。崇はおれの隣にやってきた。
「流星、アンタもS・ウルフをだました償いはしてもらう」
流星はいきなり、深々と頭を下げた。全身にプロテクターをつけ、タンクトップと短パンという罰ゲームの格好でな、真剣だから逆におかしくなる。
「あとでどんな償いでもするから、ここの階段落ちだけはやりきらせてくれ。」
崇は氷の視線でおれを見た。うなずき返す。
「いいんじゃないか。楽しみにしている百二十万人もいる。」
流星はすこし涙ぐんだ。
「ありがとう、悠、キング。おれ、ちょっと飛んでくるわ。」
大エスカレーターのくだりサイドの天辺で、流星はヘルメットのGoproに向かって叫んだ。
「140☆流星だ。さあ、三周年記念東京芸術劇場大エスカレーターダイブ行くぜ!俺はこの三年間を誇りに思っているし、ユーチューブを見てるおまえらのことも大好きだ。チャンネル登録と拡散よろしくな。レッツ・フライ・トゥ・ザ・フューチャー!!」
やつは頭からくだりエスカレーターに向かって飛び込んだ。
おれはその日の午後にはアップされた流星の動画を見た。劇場まえのファサードにつくまでは、正確に八・二秒。そのあいだに流星は十七回転して、あちこちボロボロ。その動画は伝説になり、日付が変わるまでに三百万再生を稼いだ。