ー特別篇ーYoutuber∴芸術劇場
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ガードレールに座るおれの姿を見ると、流星が驚きの表情を浮かべた。ひざしたまであるグラウンドコートを羽織っている。横井はほっと安心したような顔をした。ネットのスーパースターが言う。
「どうしたんだ、悠。あれでおしまいだと思ってた。」
おれは肩をすくめる。
「いや、せっかくだから最後まで見届けようと思ってな。」
「ありがたいけど、ちょっと危ない目に遭うかもしれないぞ」
「別にいいよ、慣れてる。」
おれは流星の背後に立つ横井に声をかけた。
「すごい荷物だな。撮影機材か?」
アイドルオタクは運動部の遠征に使うような巨大なダッフルバックをかついでいた。
「はい、その他いろいろです。悠さんが来てくれてよかった。」
前髪で目は見えないが、本気でそういっているのが分かった。
「さあ、三周年いくぞ!」
流星がそう叫んで、おれたち三人は西口公園に向かった。
公園の入り口で横井はバッグを歩道に置いた。なかかとりだしたのは、撮影用の一眼レフカメラとヘルメットだ。アメフト用のメットには自分の顔を撮れるようにGoproが取り付けられていた。
「よーし気合入れるぞ」
流星が頬をはたいた。グラウンドコートを脱ぎ落すと、タンクトップに短パン、ハイソックスというイカレタ格好。三月終わりの西口公園で目立つこと。ヘルメットをかぶり、やはりアメフト用のショルダーパットをつけて、ひじとひざにプロテクターをはめていく。
身体を張ったお笑い芸人みたい。
「許可はとってないからな。一気に登ってすぐにエスカレーターからダイブする。そいつを横井がしたからノーカットのなが回しで撮影して、すぐにこの場を離れる。ガードマンとか警察が面倒だから。わかったか、悠。あんもすぐに逃げるんだぞ。」
ゲリラ撮影なのだ。許可を取ろうとしても、あの、大エスカレーターを転げ落ちるロケだといって、すんなりとれるはずもなかった。
「チードル機材はいいか」
横井が一眼レフを確認した。
「だいじょうぶっす。」
横井が空っぽになったバッグを担ぐと、流星がいった。
「よっしゃ、タッチダウンいくぜ」
おれ達三人は東京芸術劇場のガラスの大屋根を目指して、西口公園を駆けた。
横井がエスカレーターの下で待機すると、おれと流星はのぼりエスカレーターにのった。視界がどんどん上昇していく。ガラス屋根に点々と太ったハトが止まっていた。近くで見るとガラスの斜面はかなり薄汚れている。流星がぽつりといった。
「きてくれて、ありがとな。期待して無かったから、うれしかった。」
「礼なら横井にいってくれ。」
訳が分からないという顔をしている。
「いや、別にいい。ただおれはアンタが言っていた文明史的な変化の先を見たくなったんだ。」
おれは下を見おろした。今半分くらいだがもう十五メートルは有るだろう。えらい高度だ。
「どうでもいいけど、あの上からダイブするんだな。死ぬなよ。」
流星はショルダーパッドの肩を叩いた。ビデオアーティストはいう。
「まかせとけ。階段落ちは俺の特技だ。」
だが、危険はダイブの前にやってきた。大エスカレーターのてっぺんでな。
「どうしたんだ、悠。あれでおしまいだと思ってた。」
おれは肩をすくめる。
「いや、せっかくだから最後まで見届けようと思ってな。」
「ありがたいけど、ちょっと危ない目に遭うかもしれないぞ」
「別にいいよ、慣れてる。」
おれは流星の背後に立つ横井に声をかけた。
「すごい荷物だな。撮影機材か?」
アイドルオタクは運動部の遠征に使うような巨大なダッフルバックをかついでいた。
「はい、その他いろいろです。悠さんが来てくれてよかった。」
前髪で目は見えないが、本気でそういっているのが分かった。
「さあ、三周年いくぞ!」
流星がそう叫んで、おれたち三人は西口公園に向かった。
公園の入り口で横井はバッグを歩道に置いた。なかかとりだしたのは、撮影用の一眼レフカメラとヘルメットだ。アメフト用のメットには自分の顔を撮れるようにGoproが取り付けられていた。
「よーし気合入れるぞ」
流星が頬をはたいた。グラウンドコートを脱ぎ落すと、タンクトップに短パン、ハイソックスというイカレタ格好。三月終わりの西口公園で目立つこと。ヘルメットをかぶり、やはりアメフト用のショルダーパットをつけて、ひじとひざにプロテクターをはめていく。
身体を張ったお笑い芸人みたい。
「許可はとってないからな。一気に登ってすぐにエスカレーターからダイブする。そいつを横井がしたからノーカットのなが回しで撮影して、すぐにこの場を離れる。ガードマンとか警察が面倒だから。わかったか、悠。あんもすぐに逃げるんだぞ。」
ゲリラ撮影なのだ。許可を取ろうとしても、あの、大エスカレーターを転げ落ちるロケだといって、すんなりとれるはずもなかった。
「チードル機材はいいか」
横井が一眼レフを確認した。
「だいじょうぶっす。」
横井が空っぽになったバッグを担ぐと、流星がいった。
「よっしゃ、タッチダウンいくぜ」
おれ達三人は東京芸術劇場のガラスの大屋根を目指して、西口公園を駆けた。
横井がエスカレーターの下で待機すると、おれと流星はのぼりエスカレーターにのった。視界がどんどん上昇していく。ガラス屋根に点々と太ったハトが止まっていた。近くで見るとガラスの斜面はかなり薄汚れている。流星がぽつりといった。
「きてくれて、ありがとな。期待して無かったから、うれしかった。」
「礼なら横井にいってくれ。」
訳が分からないという顔をしている。
「いや、別にいい。ただおれはアンタが言っていた文明史的な変化の先を見たくなったんだ。」
おれは下を見おろした。今半分くらいだがもう十五メートルは有るだろう。えらい高度だ。
「どうでもいいけど、あの上からダイブするんだな。死ぬなよ。」
流星はショルダーパッドの肩を叩いた。ビデオアーティストはいう。
「まかせとけ。階段落ちは俺の特技だ。」
だが、危険はダイブの前にやってきた。大エスカレーターのてっぺんでな。