ー特別篇ーYoutuber∴芸術劇場
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店番をしながら真剣に悩んでしまった。このまま放っておけば、明日にはユーチューバー同士が勝手につぶし合いをするだろう。プロレスだって人間がやることだから、能書きがあってもつい本気のセメントになることもある。おれたちがいちいち介入する必要があるのか、よく分からなかった。
おれはベートーヴェンの初期ピアノソナタを聞きながら、あれこれ考えたが結論がまとまらなくて困った。記念イベントは明日に迫っている。もやもやした気分のままキングに電話を入れた。とりあえずは報告が必要だ。
横井に聞いたすべてを話すと、崇が言う。
『おまえはどう思う?』
「正直わからない。勝手にしろという気持ちもある。だが、戸田橋のやつらに好き勝手させるのも気にいらない。難しいところだな。」
崇の声はフリーザーの中で忘れられたひと月まえの冷凍ミカンみたい。
『三周年記念の撮影はどこでシューティングされるんだ』
「池袋だ。東京芸術劇場の大エスカレーター」
スマホの向こうで風が吹いたような気がした。なにか空気が変わったのだ。
『わかった。S・ウルフが動く。赤羽だか戸田橋だが知らないが、ゴリラどもに池袋で好きにはさせない。』
「流星を守るのか」
『ああ、やつには知らせずにな。ゴリラにはキッチリけじめをつけさせてもらう。うちのもやられているからな。』
そっちの方は崇に任せておけば間違いないだろう。やつの裁きは厳正公平だ。
「流星はどうするんだ?」
『そいつはあとで考える。悠、悪いが朝から流星と一緒に動いてくれ。』
おれには崇の考えが全部は分からなかった。特になぜ手のひらを返したのかが謎だ。
「わかった。だけど、崇はどうして流星を守る気になったんだ。」
またも冷たい北風の音。キングが少し笑ったようだ。
『池袋だよ。この街で起きることは最低のことから最高のことまで、なにひとつ俺たちと無関係じゃないんだ。この街を傷つけるなら、俺は動く。S・ウルフもな。そいつはお前だって同じだろ。』
そうだ。単純なことを忘れていた。ここはおれが生まれ育ったホームタウンだった。あれこれと難しいことを考える必要などなかったのだ。
好きなら守ればいい。ただそれだけ。
140☆流星の記念すべきユーチューバー三周年記念日は、朝から荒れ模様だった。東海と北海道には雪嵐をもたらす低気圧が猛威を振るい東京も凍えるような雨が横殴りに降る空。おれは朝十時に出発するという流星と横井を高層マンションの前で待っていた。この瞬間にもS・ウルフの精鋭がおれを張っているはずだが、まったく気づかない。
おれはベートーヴェンの初期ピアノソナタを聞きながら、あれこれ考えたが結論がまとまらなくて困った。記念イベントは明日に迫っている。もやもやした気分のままキングに電話を入れた。とりあえずは報告が必要だ。
横井に聞いたすべてを話すと、崇が言う。
『おまえはどう思う?』
「正直わからない。勝手にしろという気持ちもある。だが、戸田橋のやつらに好き勝手させるのも気にいらない。難しいところだな。」
崇の声はフリーザーの中で忘れられたひと月まえの冷凍ミカンみたい。
『三周年記念の撮影はどこでシューティングされるんだ』
「池袋だ。東京芸術劇場の大エスカレーター」
スマホの向こうで風が吹いたような気がした。なにか空気が変わったのだ。
『わかった。S・ウルフが動く。赤羽だか戸田橋だが知らないが、ゴリラどもに池袋で好きにはさせない。』
「流星を守るのか」
『ああ、やつには知らせずにな。ゴリラにはキッチリけじめをつけさせてもらう。うちのもやられているからな。』
そっちの方は崇に任せておけば間違いないだろう。やつの裁きは厳正公平だ。
「流星はどうするんだ?」
『そいつはあとで考える。悠、悪いが朝から流星と一緒に動いてくれ。』
おれには崇の考えが全部は分からなかった。特になぜ手のひらを返したのかが謎だ。
「わかった。だけど、崇はどうして流星を守る気になったんだ。」
またも冷たい北風の音。キングが少し笑ったようだ。
『池袋だよ。この街で起きることは最低のことから最高のことまで、なにひとつ俺たちと無関係じゃないんだ。この街を傷つけるなら、俺は動く。S・ウルフもな。そいつはお前だって同じだろ。』
そうだ。単純なことを忘れていた。ここはおれが生まれ育ったホームタウンだった。あれこれと難しいことを考える必要などなかったのだ。
好きなら守ればいい。ただそれだけ。
140☆流星の記念すべきユーチューバー三周年記念日は、朝から荒れ模様だった。東海と北海道には雪嵐をもたらす低気圧が猛威を振るい東京も凍えるような雨が横殴りに降る空。おれは朝十時に出発するという流星と横井を高層マンションの前で待っていた。この瞬間にもS・ウルフの精鋭がおれを張っているはずだが、まったく気づかない。