ー特別篇ーYoutuber∴芸術劇場
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流星がマンゴーシャーベットをできたてのラーメンに乗せるシーンだった。誤ってかたまりごと落して、汁が飛び散る。
「テーブルにこぼれた汁のアップないのか」
「ないです。」
「なんのために二カメで撮ってんだよ。まあ、いいや」
おれは流星のとなりに立っていた。正直かなり退屈だ。動画編集ってひどく地味な作業だからな。おれの方をちらりと見ると流星がいった。かなり真剣な口調。
「俺ほどネットのことを考え抜いたやつは、ユーチューバーではほとんどいないと思う。リアルなメディアとネットでは正反対なんだ。テレビや映画や本では、ひとつの出来上がった世界を提供するだろ。矛盾がなくてひとつながりのストーリーだ。」
おれは流星の横顔に目をやった。モニタの光を受けてかすかに青い。
「だがネットでは違う。ストーリー的ではなく、単発のエピソード型なんだ。世界観や統一感は求められていない。鋭く世界を映す断片があればいい。人物だって、丸ごとの人間性ではなく、わかりやすいキャラであれば十分。作品世界よりも、日常性の方が重要なんだ。考え抜かれた言葉よりも、その場で思いついたおしゃべりがいいしな。作りこんだ嘘ではなく、あるがままのチープなリアルさの方が受けがいい。」
おれには正直よく分からない話だった。
「断片的、エピソード、日常性、カジュアルさ、分かりやすいキャラ、即時性、定期連続投稿。表現の特長としてはそんな感じだが、今までのメディアとは百八十度違うんだ。おれはこの三年間、ネットとは何かを考えながら毎日毎日動画をアップしてきた。だから、ユーチューバーなんてすぐに消えてなくなる泡みたいなビジネスだという奴には、胸を張って言える。間違ってるのは、お前だ。そんな甘いもんじゃないし、世界はネット的な方向に今も急激にシフトしてるってな。でっかく言えば今、文明史的な変化の真っ最中なんだが、誰もその未来が分かってないのさ。」
流星はおれの方を向いて、にやっと笑った。その瞬間だけは崇に負けないイケメンに見えたのだから不思議な話。
「まあ、俺もユーチューバーって仕事に誇りをもってやってるってことだ。」
やつのその日のカッコは蛍光色ミントグリーンのパーカー。なんといか季節外れのホタルみたい。流星がおれの肩を叩いた。おれはうちの茶屋をそんな風に誇りを持って語れるだろうか。
まあ、店番もカジュアルで断片的で日常の業務ではあると思うけどな。
「テーブルにこぼれた汁のアップないのか」
「ないです。」
「なんのために二カメで撮ってんだよ。まあ、いいや」
おれは流星のとなりに立っていた。正直かなり退屈だ。動画編集ってひどく地味な作業だからな。おれの方をちらりと見ると流星がいった。かなり真剣な口調。
「俺ほどネットのことを考え抜いたやつは、ユーチューバーではほとんどいないと思う。リアルなメディアとネットでは正反対なんだ。テレビや映画や本では、ひとつの出来上がった世界を提供するだろ。矛盾がなくてひとつながりのストーリーだ。」
おれは流星の横顔に目をやった。モニタの光を受けてかすかに青い。
「だがネットでは違う。ストーリー的ではなく、単発のエピソード型なんだ。世界観や統一感は求められていない。鋭く世界を映す断片があればいい。人物だって、丸ごとの人間性ではなく、わかりやすいキャラであれば十分。作品世界よりも、日常性の方が重要なんだ。考え抜かれた言葉よりも、その場で思いついたおしゃべりがいいしな。作りこんだ嘘ではなく、あるがままのチープなリアルさの方が受けがいい。」
おれには正直よく分からない話だった。
「断片的、エピソード、日常性、カジュアルさ、分かりやすいキャラ、即時性、定期連続投稿。表現の特長としてはそんな感じだが、今までのメディアとは百八十度違うんだ。おれはこの三年間、ネットとは何かを考えながら毎日毎日動画をアップしてきた。だから、ユーチューバーなんてすぐに消えてなくなる泡みたいなビジネスだという奴には、胸を張って言える。間違ってるのは、お前だ。そんな甘いもんじゃないし、世界はネット的な方向に今も急激にシフトしてるってな。でっかく言えば今、文明史的な変化の真っ最中なんだが、誰もその未来が分かってないのさ。」
流星はおれの方を向いて、にやっと笑った。その瞬間だけは崇に負けないイケメンに見えたのだから不思議な話。
「まあ、俺もユーチューバーって仕事に誇りをもってやってるってことだ。」
やつのその日のカッコは蛍光色ミントグリーンのパーカー。なんといか季節外れのホタルみたい。流星がおれの肩を叩いた。おれはうちの茶屋をそんな風に誇りを持って語れるだろうか。
まあ、店番もカジュアルで断片的で日常の業務ではあると思うけどな。