ー特別篇ーYoutuber∴芸術劇場
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おれは流星に声をかけた。
「あんたに尾行がついている。西口公園からつけてきたようだ。相手が戸田橋の奴らかは、まだ分からない。崇は尾行に尾行を着ける手配をした。」
事実をそのまま伝える。ディスプレイに向かった地下アイドルオタクの背中が、ぴくりと一度だけ震えた気がした。流星は驚きの顔でいう。
「じゃあ、さっき俺たちが話しているときも、尾行が居たんだ。」
「そうみたいだな。今も下で張っているらしい。」
「そいつは凄いな。豪勢だ。俺、尾行されるの初めてだよ。」
そういうと一眼レフカメラにレンズをつけて、バルコニーに飛び出した。おれもあとを追う。背中にいった。
「止めとけ、相手を刺激することはない。」
「いや、上手く撮れたらアップできるだろ。間抜けなデストロイヤーZの間抜けな尾行。奴らにも百万近いチャンネル登録者が居るから、かなり削ってやれるぞ。ゴリラのマスクのしたの間抜けな素顔もいいな。」
望遠レンズを手すりからつきだそうとしたところで、おれは流星を引き留めた。
「ダメだ。こちらが尾行に気付いたと知ったら、向こうはすぐに中止する。泳がせておいてS・ウルフに張らせて、向こうのアジトを特定した方がいい。」
流星は不服そうな顔をして、おれを振り向いた。
「でもさ、いい撮影のチャンスだろ。」
「アンタ、分かってないな。S・ウルフが本気で尾行をするときは二十人近い人間が動くんだぞ。車、バイク、鉄道、徒歩、あらゆる事態を想定して、ひとを配備する。もうすこしすれば、このタワーマンションのまわりには誰も逃げられない包囲網が敷かれる。」
少し怯えた表情になった。流星がつぶやく。
「けっこうおおごとなんだな。」
「料金も安くはないよ。だが、こういうことはやるときには徹底してやらなきゃダメなんだ。中途半端はない。」
「わかったよ、なんだかつまらなくなった。ちょっと俺、トイレ。」
カメラを提げて流星が室内に戻った。便所に行く流星を見送り、おれはフレンドリーな笑顔をつくって、アルバイトふたりのほうをむいた。やつがいないすきに評判を聞いておきたい。スキンヘッドのプロレスマニアに聞いた。
「流星さんってさ、普段どうなの。人使いは荒い?」
スキンヘッドは地下アイドルオタクと顔を見合わせた。
「いやあ、そうでもないっす。それより小鳥遊悠さんすよね。キングの親友の」
右手を差し出してくる。握った、分厚い手のひら。
「あんたに尾行がついている。西口公園からつけてきたようだ。相手が戸田橋の奴らかは、まだ分からない。崇は尾行に尾行を着ける手配をした。」
事実をそのまま伝える。ディスプレイに向かった地下アイドルオタクの背中が、ぴくりと一度だけ震えた気がした。流星は驚きの顔でいう。
「じゃあ、さっき俺たちが話しているときも、尾行が居たんだ。」
「そうみたいだな。今も下で張っているらしい。」
「そいつは凄いな。豪勢だ。俺、尾行されるの初めてだよ。」
そういうと一眼レフカメラにレンズをつけて、バルコニーに飛び出した。おれもあとを追う。背中にいった。
「止めとけ、相手を刺激することはない。」
「いや、上手く撮れたらアップできるだろ。間抜けなデストロイヤーZの間抜けな尾行。奴らにも百万近いチャンネル登録者が居るから、かなり削ってやれるぞ。ゴリラのマスクのしたの間抜けな素顔もいいな。」
望遠レンズを手すりからつきだそうとしたところで、おれは流星を引き留めた。
「ダメだ。こちらが尾行に気付いたと知ったら、向こうはすぐに中止する。泳がせておいてS・ウルフに張らせて、向こうのアジトを特定した方がいい。」
流星は不服そうな顔をして、おれを振り向いた。
「でもさ、いい撮影のチャンスだろ。」
「アンタ、分かってないな。S・ウルフが本気で尾行をするときは二十人近い人間が動くんだぞ。車、バイク、鉄道、徒歩、あらゆる事態を想定して、ひとを配備する。もうすこしすれば、このタワーマンションのまわりには誰も逃げられない包囲網が敷かれる。」
少し怯えた表情になった。流星がつぶやく。
「けっこうおおごとなんだな。」
「料金も安くはないよ。だが、こういうことはやるときには徹底してやらなきゃダメなんだ。中途半端はない。」
「わかったよ、なんだかつまらなくなった。ちょっと俺、トイレ。」
カメラを提げて流星が室内に戻った。便所に行く流星を見送り、おれはフレンドリーな笑顔をつくって、アルバイトふたりのほうをむいた。やつがいないすきに評判を聞いておきたい。スキンヘッドのプロレスマニアに聞いた。
「流星さんってさ、普段どうなの。人使いは荒い?」
スキンヘッドは地下アイドルオタクと顔を見合わせた。
「いやあ、そうでもないっす。それより小鳥遊悠さんすよね。キングの親友の」
右手を差し出してくる。握った、分厚い手のひら。